九州の魅力を世界に発信し、九州経済に貢献する事業者をたたえる「第2回九州未来アワード—世界が驚くKYUSHUへ。」(九州7新聞社主催)が1日、大分市のレンブラントホテルで行われ、由布市湯平温泉の旅館「山城屋」(二宮謙児代表、7室)が国際事業・インバウンド観光部門の審査員特別賞に選ばれた。インターネットを利用し、海外への情報発信を強化。宿泊者の8割を訪日客が占め、客室稼働率を約30%上昇させた取り組みが評価された。
8年前、韓国の旅行雑誌の取材がきっかけでインバウンドの取り組みをスタート。地元留学生の協力を得てホームページや館内表記を英語、中国語、韓国語に多言語化した。また「おもてなしは空港に着いたときから始まる」という発想のもと、空港から宿までのルートを写真を多用して紹介することで「旅行の安心感」を示した。メールやフェイスブックでのよくある質問には学生とともに回答の英文返答文例集を作成し、「宿の安心感」を与え、事前の心配事をなるべく少なくした。
おもてなしの面では親密なコミュニケーションを心がける。到着後すぐに翌日のスケジュールを確認することで、列車やバスの時間を逆算し、出発時間や朝食の時間を一人ずつ丁寧にアドバイスしている。
二宮代表は「安心感の提供こそが最も重要である」と強調する。結果として世界最大の口コミサイト「トリップアドバイザー」で九州・沖縄の全旅館・ホテル2564軒中、ランキング1位を獲得している。
客室稼働率は2012年から3年間で22.6%アップしたことから「未来の後継者たちがより働きやすい環境作り」として不定期の休みを完全週休2日制へと変更した。二宮氏は由布市の旅館・ホテルの6割を占める客室10室以下の小規模旅館の新たな経営環境を提供できればと期待を寄せる。