日本政策金融公庫は10月、四半期ごとに行っている全国中小企業動向調査の今年9月調査分を公表した。従業者20人未満の小企業編では、回答企業の業況判断DIが前回調査から上昇したが、来期は下降の見通し。景況を「持ち直しの動きがみられるものの、先行き懸念が強まっている」とした。一方、従業員20人以上の中小企業編では、回答企業の業況判断DIが前回調査から下降し、先行きもさらに下降。「持ち直しの動きに一服感がみられ、先行きについては慎重な見方が強まっている」とした。
小企業調査は全国の同公庫取引先1万企業に行い、このうち7506企業から有効回答を得た。
今期(今年7〜9月期)の業況判断DI(よいとする企業割合から悪いとする企業割合を引いた値)はマイナス43.9で、前回調査(今年4〜6月期)から5.0ポイント上昇。これで、6期連続で上昇した。
ただ、来期(今年10〜12月期)の見通しは今期比5.6ポイント下降のマイナス49.5。7〜9月期での来期見通しが下降するのはリーマン・ショックがあった08年以来となる。今回の下降幅はその当時(3.0ポイント)を上回る。
今期のDIを8業種別にみると、情報通信業を除くすべての業種で上昇した。このうち飲食店・宿泊業は前期比11.1ポイント上昇のマイナス49.8。旅館等が同20.8ポイント上昇のマイナス30.8と大きく数字を伸ばした。飲食店・宿泊業の来期見通しは今期比8.6ポイント下降のマイナス58.4。このうち旅館等は同31.6ポイント下降のマイナス62.4。
一方、中小企業調査は全国の同公庫取引先1万3160社に行い、このうち6363社から有効回答を得た。
今期の業況判断DI(前年同期比で好転とする企業割合から悪化とする企業割合を引いた値、季節調整値)はマイナス1.5で、前期の0.3から1.8ポイント下降し、マイナス超に転じた。
来期は今期から7.5ポイント下降し、マイナス9.0になる見通し。
業種別にみると、非製造業10業種では水運業、倉庫業の2業種が上昇超。飲食宿泊業は前期から下降し、マイナス10台と厳しい状況が続いている。来期もマイナス30近くに下降する見通し。