中部運輸局と北陸信越運輸局は11月、管内の宿泊施設や飲食店、自治体などを対象に、訪日ユダヤ人旅行者の受け入れセミナーを開く。ユダヤ系観光客のおもてなしに絞ったセミナー開催は国内初という。
「昇龍道」エリアでは第2次世界大戦時に「命のビザ」を発給し、多数のユダヤ人を救った外交官、杉原千畝の出身地である岐阜県八百津町やナチスの迫害を逃れた難民がたどり着いた福井県敦賀市などゆかりの地が多い。
昨年7月には複数の自治体が協同した「杉原千畝ルート推進協議会」(事務局・高山市)が設立され、ユダヤ系観光客の増加を図るための海外プロモーションなどを行っている。しかし、ユダヤ人旅行者を受け入れる環境は十分に整っていないのが実情。このため、両局は学識経験者や日本イスラエル親善協会関係者らを招いたセミナーを実施し、理解を深めてもらうことにした。
セミナーは15日に金沢市、22日に高山市で開く。愛知教育大の黒川知文教授が「ユダヤ教に関する基礎知識」、日本の窓のアヴィ・ルガシ代表取締役が「ユダヤ人旅行者の動向・受け入れ対応の状況」について基調講演し、日本イスラエル親善協会など関係者によるパネルディスカッションでは宿泊や飲食での対応、おもてなしなどについて意見を交わす。参加費無料。