住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行をにらみ、多くの物件に合法的な活用の道が開かれる民泊の関連ビジネスが活気づいている。5月27日、東京都内で開催された民泊に関する展示会「バケーションレンタルEXPO」には、46社54ブースの出展があり、来場者は3060人に上った。商談やセミナーが行われ、民泊新法に対応したビジネスモデルの提案、民泊関連の商品・サービスに注目が集まっていた。
展示会の主催は、民泊・ホテルの運用代行などを行うオックスコンサルティング(本社・東京都港区)と民泊関連のシステム開発などを手掛けるメトロエンジン(本社・同)。会場は東京都新宿区の新宿NSビルのイベントスペース。
出展企業は、オンライン・トラベル・エージェント(OTA)や民泊仲介サイト、民泊運用代行会社、清掃代行会社、不動産会社、ITサービス提供会社など。OTAではアゴダやエボラブルアジア、仲介サイトではエクスペディアグループのホームアウェイ、中国系の途家、自在客、住百家など。
大手民泊仲介サイトのエアビーアンドビーは、ブースは出展しなかったが、セミナーにエアビーアンドビー・ジャパンホームシェアリング事業統括本部統括本部長の長田英知氏が登壇し、シェアリング・エコノミーを活用した地方創生などについて語った。
セミナーは、海外の民泊仲介サイトによる市場展望のほか、民泊事業に関する行政書士や税理士による関係実務の解説、専門家による不動産投資やリスク管理など、テーマは多岐にわたった。
セミナーでは、民泊新法が話題に上った。年間の提供日数の上限について中国系の民泊仲介サイト、自在客副CTO共同経営者の張斌氏は「ロンドンは90日、アムステルダムは60日などの規制があり、日本の180日は海外と比べて厳しいとは言えない」と述べ、東京五輪・パラリンピックが開催される2020年に向けて日本での事業を拡大させる考えを示した。
民泊新法の施行に向けた動きについて、展示会主催者のオックスコンサルティングの原康雄社長は「都市部では180日までは民泊、残りの期間はマンスリーマンションなどとして運用する形が一般的になるのではないか。地方もリゾートマンションなどを合法的に活用できる道が開ける。民泊物件は増加が見込まれる」。一方で大手資本がカプセルホテル、ホステルなどを含めて新規事業を着々と準備しているとして、民泊事業者も誘客に向けて「エクスペリエンス(体験)、コンテンツ、内装などの差別化を図っていく必要がある」と指摘した。