宿泊施設向け情報システム専門会社のタップ(東京都江東区、清水吉輝社長)は19日、無料ITセミナー「予約管理業務の徹底的な効率化を目指す星野リゾートのIT戦略」を日本IBM箱崎事業所セミナールームで開いた。
清水社長は、ホテルシステムに蓄積されている膨大なデータを分析して意思決定に活用する「BI(ビジネス・インテリジェンス)」の概念と新製品「BIツール」などを紹介。続いて、星野リゾートのグループ情報システムユニットディレクター、久本英司氏が、同社のIT戦略を講演した。
星野リゾートのITシステムは、一部の自社開発部分を除き、ほとんどタップのシステムで構成。特徴は、全施設の予約受付業務を完全に独立させ、沖縄に置く専門チームが担当していること。個々の宿には原則、予約担当者はいない。各施設と沖縄の予約センターが、予約に関わる全ての最新情報を常に共有する必要があり、それをタップのシステムにより実現しているという。
予約業務の集中化は、まず06年に星のや軽井沢と白銀屋で実施。07年には沖縄予約センターを設立。さらに08年に磐梯・リゾナーレ八ケ岳の大規模施設も移管し、現在では21施設、1411室の予約を全て沖縄でコントロールしている。
予約業務集中化の結果、1件の予約にかかるコストは従来の3分の1まで減少。また、自社電話による予約軒数の相対的な増加、個人スキルからの脱却、インバウンド予約の全施設対応実現などの成果が出たという。
久本氏は「非効率な業務や単純作業、システムで置き換え可能な業務を徐々にシステム化し、それらを統合。予約業務の集約化、最適化で生産性の向上を実現した」などと解説した。
セミナーの様子