国土交通省は2月23日、経済成長、国民生活の向上に向けたICT(情報通信技術)活用の将来像と今後の戦略をまとめる「国土交通分野イノベーション(技術革新)推進大綱」の中間報告を発表した。観光分野では、訪日外客の誘致などをふまえ、多言語での観光情報提供システムの整備や、各種料金の決済ができる国内外共通のカードシステム導入などへの活用を挙げた。中間報告をもとに広く意見を聴き、5月をめどに最終報告をまとめる。
大綱の策定では、昨年10月、安富正文事務次官を本部長とする「国土交通分野イノベーション推進本部」を設置。省内だけでなく、民間72社160件の提案を集めて検討した。中間報告では、運輸、生活環境、地域、社会資本整備などテーマ別に8項目に分けて将来像と今後の戦略を整理した。
8項目の1つに「ホスピタリティあふれる観光先進国の実現」として観光分野への活用策をまとめた。(1)旅行におけるバリア(障害)の解消(2)観光地づくりにおけるバリアの解消(3)新たな付加価値の創造(4)観光統計・データとしての活用──を主要課題に位置づけた。
旅行でのバリア解消は、情報や言葉、決済の上での障害解消を目指す。旅行者が出発の前後を問わず観光情報を即時に多言語で入手できるシステムや、宿泊、交通、観光施設の予約などをワンストップで可能にするプラットフォームの構築などを列示。観光施設、交通機関の決済に国内外で利用できるICカードの導入は、交通機関を先導役に推進するとした。
観光地づくりのバリア解消では、関係者が持つノウハウやアイデアを結集し、事業化につなげるコミュニティー形成のためのプラットフォームを構築。新たな付加価値の創造では、古都の風景をバーチャルに復元するサービスの開発などを例示した。
イノベーションについては、政府が戦略会議を設置し、25年までを視野に入れた長期的戦略指針「イノベーション25」を5月までに策定する。