4月9、10日、アラブ首長国連邦(UAE)の首都アブダビで、世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)の年次総会・グローバルサミットが開かれ、日本から日本観光振興協会はじめ、観光庁、観光関係団体・企業など約30人が参加した。世界から計約千人が集まった。
日観協によると、今回のグローバルサミットは「ア・タイム・フォー・リーダーシップ」と題され、観光産業の成長、航空・宿泊など各業界の課題やソーシャルメディアとの協調、観光産業界としての政策提言について議論。また、来賓として米国のビル・クリントン元大統領が特別講演し、10年の地震で大きな被害を受けたハイチでの災害復興に対する観光産業の成果について述べた。
10日のプログラムでは「ツーリズム産業全体の共通する課題と解決策」をテーマにパネルセッションが行われ、田川博己JTB社長と清野智JR東日本会長が登壇した=写真。
田川氏は「日本へのインバウンドはまだ少なく、多様なニューツーリズムを提示していく必要がある。そのためには人材育成にもっと力を注がなければならない」、清野氏は「日本の鉄道技術は東南アジアの発展に貢献できると考えている。観光産業は被災した地域の復興に果たす役割が大きいことは昨年、日本でも確認いただいた。日本の観光産業界は一致団結して、訪日客を増やす取り組みを続けていく」と述べた。
パネルセッション前には、観光にかかるオールジャパンの取り組みをPRするため、観光関係メディアを招き朝食会を開催。日本政府観光局の松山良一理事長が代表してあいさつし、東日本大震災後の状況や20年の東京五輪招致への活動などを報告した。
日観協の見並陽一理事長はWTTCを振り返り、「アブダビという開催地にも関わらず、各界から30人の参加を得て、日本が世界の観光産業の発展に果たす役割を示すことができた。世界の観光の潮流を的確にキャッチアップし、一層の訪日客の拡大、世界に通用する観光地づくりに努めていかなければならないと感じた」とコメントしている。
9月10、11日には韓国・ソウルで初のアジアサミットが行われ、次回の年次総会・グローバルサミットは来年4月23〜25日に中国・海南島で開催される。