ホテルリゾート下電(永山久徳社長、岡山県美作市)が経営する湯郷温泉ゆのごう美春閣は、大浴場の湯の加温用などに使っている重油ボイラーに代えて、新型ボイラーを導入した。木くずを固めて再利用した木質ペレットを燃料とするボイラーの導入は全国の旅館・ホテルでは初めての試み。原油高の影響で高騰した重油料金への対応や、環境への配慮を図った。
これまでは重油ボイラー2基があり、日量900リットルから1200リットルの重油を使用。調達費は、07年では1リットル50円台だったが、原油高の影響で今年に入り1リットル100円から150円に値上がりしている。この状況を受けて、燃料費を抑える新型ボイラーの導入に至った。
木質ペレットは、木の時にCO2を取り入れ酸素を出す光合成を行っていたため、理論上、燃焼でのCO2排出量は相殺されている。「地球温暖化防止への貢献も期待できる」と同館。
同館はボイラー導入で、燃料代と、CO2排出量をそれぞれ年間3割の削減を目指す考え。年間500トンの木質ペレットの使用を予定している。当面、大浴場など館内での給湯設備用に使うが、今後、エアコンなど空調設備への利用も検討している。
新型ボイラーの導入にあたっては、省エネルギーを企業活動として行うESCO(エネルギー・サービス・カンパニー)事業を省エネルギーセンターと契約。機器代と設置費の初期投資がかからなかった。
永山社長は「美春閣での取り組みが先駆けとなって、木質ペレットの導入が全国に広まってくれれば」と話す。