日本商工会議所は14日、2015年度「全国商工会議所きらり輝き観光振興大賞」の受賞商工会議所を決めた。大賞は富山商工会議所(富山県)が受賞、県内の商工会議所と連携した産業観光の推進と、自然、産業、文化、交流を連動させた通年型観光への取り組みが高く評価された。表彰式は11月13日、静岡市で開く「全国商工会議所観光振興大会2015inしずおか」の全体会議で行う。
日商によると、富山商工会議所は02年から産業観光の振興に取り組み、通年型観光の定着を目指している。昨年、県内7商工会議所と連携して「県広域産業観光推進委員会」を発足。来県者の多くがビジネスマンであることから、商工会議所一体となって日帰り出張から宿泊型出張への仕組みづくりを進めている。
今年、県内にある100以上の産業観光施設を掲載する「産業観光図鑑2015」=写真=を作成。北陸新幹線の県内3駅を起点に、九つの産業観光モデルコースなどを紹介している。図鑑についてはAR機能(スマートフォンをかざすだけで各施設の詳細が読み取れる機能)を付けたほか、電子書籍化してネット上でも閲覧できる仕組みも構築。
このほか、高山本線を活用したモニターツアーの開催や、市内の路面電車(セントラム)を全日本チンドンコンクールなどのイベントに活用するなど、JR富山駅を中心にした地域交通の活用による観光振興にも取り組んでいる。
観光立“地域”特別賞はひたちなか商工会議所(茨城県)と児島商工会議所(岡山県)が選ばれた。ひたちなか商工会議所は10年に加工高日本一のタコを地域資源に、地域活性化プロジェクトをスタート。しかし、11年の東日本大震災で放射能汚染などによる風評被害に見舞われた。
払拭のため12年2月に市内40団体と連携して、「タコ日本一!魚のおいしいまち推進協議会」を発足させた。昨年開催した第1回「世界タコ焼きグランプリ」では、タコの仕入れ先であるモーリタニアの駐日大使も出席。市内在住の外国人や留学生らが母国の味付けをしたオリジナルタコ焼きを競い合い、タコのまちひたちなかのPRにつながった。
児島商工会議所は国産ジーンズ発祥の地という特性を生かし、ジーンズ販売店の誘致による空き店舗対策に取り組み、地域商業の再生、発展に努めている。
現在では26のジーンズ店がオープンし、それに伴い雑貨店や飲食店などの進出も。まち全体がジーンズ一色になるようにシャッターの色や道路などを濃い藍色にカラーリングする徹底ぶりだ。
その結果、ジーンズ愛好者など国内外から多くの観光客が商店街を訪れるようになり、年間7千人程度だった通行量が10万人まで増加。その1割が外国人で、英語表記のマップ作成や免税店申請の取り組みが進められているという。
振興賞は長野商工会議所(長野県)と福山商工会議所(広島県)、奨励賞は久慈商工会議所(岩手県)、熱海商工会議所(静岡県)、美濃商工会議所(岐阜県)、小浜商工会議所(福井県)。