ここ最近、禁煙部屋を作る(あるいは増室する)という相談が多いので、今号では禁煙・喫煙について一度考えてみたいと思う。ホテルにおいては、今や禁煙・喫煙が部屋ごとで分けられているのが一般的になっているが、旅館においては、明確に分けていない施設もまだ多い。
JT「全国たばこ喫煙者率調査」によると、2017年の喫煙者率は男女計で18・2%(1917万人)となっており、2016年比較で△1・1%(△110万人)となっている。数字上で見ても、禁煙者の方が多い。加えて、健康増進法で受動喫煙防止対策が強化されつつあるのは周知のとおりである。これらを加味すると、やはりこれからの時代においては、禁煙部屋の作成は必要と言えるであろう。
禁煙・喫煙の表記がないと、予約段階で「禁煙部屋リクエスト」や、「消臭対応」を求められていることも多く、場合によっては来館時に禁煙希望を伝えられることもある。すると、そのたびに確認作業や、消臭作業が発生し、結果的に生産性を下げているケースも散見されるので、今一度、予約課やフロントにヒアリングをして、自施設における禁煙者・喫煙者の実態を調査してみてほしい。
一方で、数字上だけ見ると、全室禁煙でもよいのではないかとも思われがちであるが、全室禁煙にしたばっかりに重要顧客を失ったり、稼働率が落ちたり、という事例もあるので、あくまでも自施設の実態を把握することが大事である。
禁煙部屋の作成においては、可能であればフロアごとの区分をお勧めする。客室は完全な密閉空間と言えないので、フロアで禁煙・喫煙が混在すると、「せっかく禁煙部屋を選んだのに」とクレームになるケースがあるので要注意である。
また、現在であれば、受動喫煙防止対策助成金という喫煙ブースの設置等の費用補助を受けられるケースもあるので、併せて検討してみてほしい。
禁煙・喫煙どちらが良い、悪いということではなく、両者が気持ちよく宿泊できて、集客最大化を図り、さらに自施設の予約オペレーションが効率化する方法をまずは考えてみてほしい。
(アビリティコンサルタント・プライムコンセプト取締役 内藤英賢)