歴史を正しく知り 平和を考える学習
教育旅行の分野で、平和学習が見直されつつある。明治期、近代国家を目指した日本が軍港として整備し、海軍鎮守府を置いた4都市、神奈川県横須賀市、広島県呉市、京都府舞鶴市、長崎県佐世保市は2016年4月、「軍港都市 横須賀・呉・佐世保・舞鶴~日本近代化の躍動を体感できるまち~」として文化庁の日本遺産に登録された。
呉市では、戦後70年にあたる2015年度は、教育旅行の受け入れ学校数が前年度比6・1%増の450校、同人数が8・7%増の2万5157人と増加。2016年度は校数が1・6%増の457校、人数が3・4%減の2万4295人。10年前の2005年度は141校、8652人だった。
戦艦大和の10分の1模型や、乗組員の遺書などを展示している「大和ミュージアム(呉市海事歴史科学館)」の戸髙一成館長は、「日本は、戦後長い間、戦争に触れないことが平和教育であると考える時代があった。しかし、嫌なこと、二度とあってはならないことほど、事実に目を背けることなく直視しなければならないのではないだろうか」と述べ、「『平和を考える』とは『過去の歴史を正しく知ること』」と強調する。
同ミュージアムの会館は2005年4月。現在では広島市を訪れる学校のうち約10%が同ミュージアムまで足を運ぶ。
コンパクトな市内には、旧呉鎮守府庁舎(現在の海上自衛隊呉地方総監部)や呉海軍墓地、戦艦大和が生まれた旧呉海軍工廠造船部(現在のジャパンマリンユナイテッド呉事業所大屋根)など、旧海軍と共に歩んできた日本近現代史が凝縮されている。ご当地グルメの「呉海自カレー」「肉じゃが」「メロンパン」も訪れる生徒たちに人気だ。
呉海軍墓地
旧呉鎮守府庁舎