前回に引き続き、金融庁から公表された「金融仲介機能のベンチマーク」について紹介しよう。全国の金融機関が対象となっており、皆さまのメイン行の重役も対応に追われていることだろう。当然のことながら、旅館・ホテルに対する取引方針にも影響するので理解しておくことをおすすめする。
各金融機関が自身の事業戦略やビジネスモデルなどを踏まえて選択できる項目を「選択ベンチマーク」と言うが、50項目にも及ぶので旅館・ホテルに関係の深い項目だけ紹介しよう。
7、「(金融機関の)事業計画に記載されている取引先の本業支援に関連する施策の内容」
ここで言う事業計画とは、皆さまの旅館・ホテルの事業計画ではなく、金融機関自身のものである。上場している地方銀行であれば、毎年決算期や株主総会時期になると事業計画を対外的に発表するのが通例だ。時期が来たら、メイン行のホームページをチェックすると良いだろう。
本業支援について言及されていたら、今回の金融庁の方針の影響によるものと言える。また、皆さまの金融機関の担当者に具体的にどのような施策を進めようとしているのか聞き出してみると良いだろう。旅館・ホテルに適用できるものがあれば活用することをおすすめする。
8、「取引先の本業支援に関連する施策の達成状況や取り組みの改善に関する取締役会における検討頻度」
本業支援の取り組みに対する金融庁の要求は、事業計画で言及しさえすれば良いというほど甘くない。また、年度末に取り組み実績を行内から収集して取りまとめれば良いというほど悠長な対応を許してくれるわけではない。本業支援の対応について取締役会で定期的に審議することが要求されているのだ。
宿泊業や観光業への融資額の大きい地方銀行であれば、旅館・ホテルへの本業支援は、取締役会の重要な議題となることだろう。金融庁の方針をきっかけに、旅館・ホテル業界への支援が一層進むことを期待したい。
(山田ビジネスコンサルティング事業企画部部長)