【観光業界人インタビュー】ウィラートラベル 社長 村瀬茂高氏


ウィラートラベル 社長 村瀬茂高氏

高速ツアーバス業界を創った男

安価なバス網で地域活性化

──高速ツアーバス「ウィラーエキスプレス」の取扱人数が急拡大している。

 「年間利用人数は06年が31万人、07年が前年比74%増の53万9627人、08年が同96%増の105万5675人、09年が同28%増の134万8324人。10年は同26%増の170万人の見込みだ」

──組織形態は。

 「持株会社ウィラーアライアンスの傘下に旅行会社のウィラートラベル、バス会社であるウィラーバス、ウィラーバス東海などがある。自社バスを85台保有。75都市を毎日150便で結んでいる」

 「06年1月、ウィラーバスを大阪市に設立。同年4月、ウィラートラベルが高速ツアーバス『ウィラーエキスプレス』の募集、催行を始めた」

──主軸は運輸会社か。

 「輸送人数日本一のバス会社を目指しているわけではない。基本は旅行会社。目的は国内交流人口の拡大だ。それが地域活性化につながる」

──バスとの出会いは。

 「愛知学院大学の学生時代からスキーやダイビングなどのスポーツツアーを手がけていた。ツアーやイベントを企画し、学生を集客。東急鯱バスに催行してもらっていた。特にスキーは一冬で3千人位集めていた。86年にスキーツアーの旅行会社に入社。94年、30歳で独立した」

──高速ツアーバスの着想はどのように生まれたのか。

 「低価格のスキーツアー商品は、宿も旅行会社も低収益で顧客満足度も低い。適正利益が得られ、顧客満足度も高く、社会貢献できる旅行商品とは何かを熟考した」

 「EU統合にはLCC(格安航空会社)の存在が寄与した。長距離バスのグレイハウンドは全米各都市を網羅し、旅行者や学生、シニアなど幅広い層に足を提供している。日本にも大都市と地方を結ぶ簡単、便利で安価な交通ネットワークが必要だと思った」

──インバウンド対応は。

 「英語、中国語(繁体字)、韓国語の多言語予約サイトを昨年6月に開設。香港、台湾、韓国の旅行会社と送客を受ける契約も結んだ。12月までの半年間で2万人の外国人が利用した。安価なバスネットワークは訪日外国人個人旅行客にも使い勝手がよいと思う」

──高速ツアーバスと宿泊を利用者がサイト上で自由に組み合わせて予約購入するダイナミックパッケージ「ウィルパック」も同6月に始めた。

 「都市部や東京ディズニーリゾートのホテルなどを中心に約5百軒と契約。バス出発の2時間前まで予約が可能だ。宿泊単品の販売はしないため、宿にとっては、値崩れを心配せずに当日の客室在庫を販売できる利点がある」

──地域の観光協会、旅館組合との連携も始めた。

 「3月12日から東京・和倉温泉間での運行を始めた。1日1往復だが乗車率は96%。ウィルパックで和倉温泉の旅館と合わせて予約した人に共同温泉浴場の利用や各種プレゼントなどの特典がある『手形』を進呈している。ここで成功モデルをつくり今後全国の温泉地にも広げていきたい」

──3年間社長を務めた楽天バスサービスとの関係は。

 「高速ツアーバス予約サイトを運営していた『スターツアーズジャパン』を05年7月に楽天トラベルに売却。社名変更で『楽天バスサービス』となった。これは高速ツアーバスを催行する複数の旅行会社が出店するマーケットプレイス。現在はウィラートラベルも出店者のうちの1社だ。ウィラートラベルのサイトはウィラーグループ運行バスの販売サイト。競合はしていない」

【むらせ・しげたか】
63年名古屋市生まれ。86年ラッツインターナショナル入社。94年西日本ツアーズ(現ウィラートラベル)を大阪市に設立。05年、楽天バスサービス社長。06年「ウィラーエキスプレス」事業開始。

ウィラートラベル 社長 村瀬茂高氏

 
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