【竹内美樹の口福のおすそわけ182】船で巡るウエスト・コースト その3 竹内美樹


 三つ目の寄港地は、南カリフォルニア沖に浮かぶリゾートアイランド、サンタ・カタリナ島。北海道の利尻島とほぼ同じぐらいの面積の島内には手つかずの自然も多く、保護のため移動手段は徒歩が推奨されており、島民でも車を所有するには14年待ちと言われるほど。そのため、徒歩圏外に行くにはゴルフカートが利用されている。

 中心街のアバロンで、観光前にまずは腹ごしらえ。「BLUEWATER GRILL」という、現地一番人気の店へ。まずオーダーしたクラブケーキは、アメリカのシーフード料理店の定番だが、実はメリーランド州が発祥の地だそう。ハンバーグ状にした蟹肉を、焼くタイプと揚げるタイプの二通りあるが、同店では表面にしっかり焦げ目が付くぐらい焼いてあった。マヨネーズに刻んだピクルスやケッパーなどを入れたレムラード・ソースが添えられていて、蟹肉との相性バッチリ。

 大好物のアーティチョークのグリルも、迷わず注文。コレは和名で言うとチョウセンアザミのことで、食用になるのは若い蕾。店名にある通り、グリル料理は任せとけ!という感じで、半分に割って「チョーク」と呼ばれる花弁に育つ食べられない部分を外し、グリルした物が運ばれて来た。ガクの部分を一枚ずつ剥がし、ニンニクマヨネーズとも言えるアイオリ・ペーストをつけ、肉厚な部分だけ歯でしごいて食し、最後に「ハート」と呼ばれる花弁下の芯の部分をいただけば、ウマイの何の。通常茹でてあることが多いが、グリルだと水分が飛んでホクホク感が増す。百合根やソラマメのような食感と甘みで、ディップをつけなくても十分美味。

 そして、前日すっかり注文し忘れた「サンフランシスコ・チョッピーノ」をオーダー。クラムとムール貝、帆立貝、蟹肉、海老、魚などがトマトソースで煮込んであり、ちょっとピリ辛の味付けが食欲をそそる。

 さらに店の看板メニュー、フィッシュ&チップスを注文。小麦粉をビールで溶いた衣だとメニューに明記されていた。サクッとさせるためで、英国式の本格派だなぁと期待が高まる。でも、やっぱりここはアメリカ、添えられていたのは、トマトケチャップとタルタルソースであった。英国式にビネガーをお願いしたら、本場と同じく麦芽から作られたモルトビネガーが登場、超うれしい。本場同様、揚げた魚とジャガイモに、このモルトビネガーをジャバジャバかけて食せば、お酢が脂を洗い流す感じで、結構サッパリする。

 その後、時速8キロのゴルフカートで街中を観光、ゆったりと流れる時間を満喫し、翌日はカリフォルニア州サンディエゴに寄港。ラ・ホーヤの海岸にある「Brockton Villa Restaurant」へ行ってみた。ここはエッグ・ベネディクトで有名な店なのだ。普通ならベーコンかスモークサーモンがはさんであるところだが、同店ではクラブケーキがはさんであるという。そりゃ食べてみたいでしょ!というワケで、続きは次号で。

 ※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。

 
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