前号に続く、インド世界遺産を巡る旅。初日はデリー。インド最古のイスラム建築群「クトゥブ・ミナールとその周辺の建築群」、タージ・マハルに多大な影響を与えたといわれる「フマユーン廟」や、「レッド・フォート(赤い城)」を観光。
2日目はアグラで、待望の「タージ・マハル」と「アグラ城」。3日目はジャイプールで、953もの窓が並ぶピンク色の建造物「風の宮殿」、王の宮殿「シティパレス」、そして「アンベール城」を見学した。
紙面の都合で詳しく述べられず残念だが、「タージ・マハル」についてチョット。皇帝が、亡き愛妃のために建てた総大理石の白亜の墓廟は、1日2万人の労働者を投入し、22年もの歳月をかけて築かれたそうだ。赤砂岩の巨大な門の向こうには、見事なシンメトリーの庭園が広がり、その奥に真っ白なドーム屋根の廟堂が。近づくと、大理石の壁にレリーフや象嵌(ぞうがん)細工が施されており、ため息が出る美しさ。
旅の間、朝食はホテルのブッフェ。パンなど洋食メニューの他、カレーもあった。いや、正確には前号で述べた通りカレーではなく、さまざまなスパイスを粉にして混ぜ合わせた「マサラ」で煮込んだお料理なのだ。
余談だが、目玉焼きを注文したら、ほぼ真っ白でビックリ! インドの卵は黄身が白っぽいのだ。固ゆで玉子など、どこまでが黄身か白身か分からないくらい。
今回の旅は北インドだが、南インドの定食「ミールス」もいただいた。ターリーと呼ばれる銀色のお盆のような大きなお皿に、ボウルに入ったカレーやお料理が並んだヤツだ。
ミールスには必ず、辛くて酸っぱいスープ「ラッサム」と、キマメと野菜のスープ「サンバル」が付く。そして豆のカレー「ダル」、野菜のマサラ炒め「ポリヤル」などが、中央のご飯を中心に円形に並んでいる。今回は「シークカバブ」も載っていた。長い串に巻き付けた、インド版つくねだ。
インドで最後の食事となる最終日のランチでは、ガイドさんがインドの食事作法を教えてくれた。世界の三大食作法、手食、箸食、ナイフフォーク食の中で、意外なことに手食の人口が最も多く約4割を占めており、他の二つが3割ずつといわれる。手食文化圏では、食べ物をまず指先で味わうことから、味覚、嗅覚、聴覚、視覚に触覚も加え、五感で味わうことのできる、ぜいたくな食べ方だと考えられているそうだ。
右手の親指、人差し指、中指の第二関節までを使ってカレーとご飯を混ぜてから口へ運ぶのだが、なかなか難しい上、指先が熱い! 筆者は早々にリタイアし、普通にお食事を楽しむことに。北インドの代表格、「ムルグ・マッカーニ(バターチキンカレー)」や「パラク・パニール(ほうれん草とチーズのカレー)」など4種類のカレーと、骨無しタンドリーチキン「チキン・ティッカ」など、豪華なランチを堪能した。
帰国後しばらくして、カレー禁断症状が…。次号は東京カレー事情、お楽しみに!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。