最近少しはマシになってきたものの、この夏の暑さはハンパじゃなかった。昔はこんなにひどくなかったハズ。その証拠に、35度以上を表す「猛暑日」という予報用語も、以前はなかったそうだ。1990年以降35度を超える日が急増、気象庁でも対応せざるを得なくなり、2007年から「猛暑日」を使い始めたという。
都市化によるヒートアイランド現象はモチロンだが、地球温暖化だって無関係ではない。そしてこのまま温暖化が進めば、北極圏の氷がどんどん解けていき、白クマくんたちが住処(すみか)を奪われてしまうかもしれないのだ。われわれ人間だってうかうかしていられない。氷河が解け海に流出し、その影響で、2100年までには海面が最大82センチも上昇すると予測されている。
難しいことはさておき、地球温暖化を防止しなければならないことだけは確かである。それには温暖化の原因となる温室効果ガス、特に二酸化炭素の排出を減らさねばならない。
…と、この連載って食べ物の話じゃなかったの?と思ってるアナタ! 食べ物だって、二酸化炭素削減と無縁じゃないのだ。例えばキュウリ。本来の旬は夏だということを忘れそうなくらい、スーパーに行けばいつでも手に入る。だが、冬のハウス栽培では、夏の露地物の約5倍ものエネルギーを必要とするそうだ。
ちなみに、米を作る際に使う田植え機やトラクター、コンバインなどは石油で動くが、資源エネルギー庁によれば、米1キロを作るために必要なエネルギーは、約3200キロカロリーだそう。これを原油に換算すると、約350ミリリットルだとか。なんだ、大したことないやと思うが、日本の米の生産量、年間778・2万トン(2018年)と考えると、おおよそ27億リットル以上もの原油を消費することになるのだ。
農作物を作るのに、こんなに石油を使っているとはビックリ。つまり旬の農作物はエネルギーを使わない分、二酸化炭素の削減に寄与していると言える。
栄養面でも、露地物の方がハウス物よりビタミンCが2倍以上も含まれているという。昔から旬の食材は体に良いと言われるが、栄養価が高くお財布に優しい上、地球環境にも優しいのである。
さて、この石油について。燃料としての石油だけでなく、石油製品もまた、廃棄する際に燃やすと二酸化炭素を排出する。現在大きな問題になっている海洋ごみも、そのほとんどが石油製品であるプラスチックだ。分解されず、燃やせば二酸化炭素を出す厄介者のプラごみを減らすべく、今世界中でさまざまな取り組みが始まっている。
わが国でも今年4月、全省庁内で、ストローやレジ袋など使い捨てプラスチックが使用禁止となり、会議でのペットボトル飲料の提供も中止に。だが、使い捨て弁当容器については代替品が困難という理由で規制を見送ったという。本当に代替品はないのか? 実は「脱石油系プラスチック」の容器が存在するのだ。
続きは次号で!
※宿泊料飲施設ジャーナリスト。数多くの取材経験を生かし、旅館・ホテル、レストランのプロデュースやメニュー開発、ホスピタリティ研修なども手掛ける。