コロナ禍を背景に、消費者のライフスタイルは変化し、個人の価値観、人生観についても考えを改める動きが広まった。特に、消費行動に関しては、自身の健康や、社会にポジティブな効果・影響をもたらすサービスや製品の購入意思が強まっている。購買行動のきっかけは「新製品の発売」や「価格セール」ではなく、「情熱」や、「目的」「意味・意義」が重要になりつつある。では、観光・旅行業界、ホテル宿泊業界では、どういった商品・サービス、取り組みが必要になるだろうか。
▼ペットも家族の一員↓ペット入室可のホテル、宿泊プランが増加▼外出規制により生活と仕事(職場)の隔たりが減り、ホテル滞在が生活の一部になる↓テレワーク(日帰り利用)、ブレジャー利用(出張+余暇)、ワーケーション利用(バケーション先で仕事をする)の増加▼SDGs、エコフレンドリーな取り組み(プラスチック削減など)が日常↓プラスチックストローの提供を停止。客室のアメニティの利用の変化(ホテルから提供せず、持参するなど)▼地域創生、地産地消、ローカルアクティビティへの参加↓旅先での体験が、自然環境保護につながる(ビーチクリーン活動など)。
これらはコロナ禍で、目にしたこともあるプランや商品、サービスではあるが、はたして、それらはホテル集客にどれほどの効果をもたらすだろうか。
2021年にブッキングドットコムジャパンが発表した「サステナビリティトラベル」に関する調査結果によると、「旅行において、サステナビリティが非常に重要だ」と回答した日本の旅行者は全体の82%。「サステナブルな旅行をしたい」は42%。「サステナブルな宿泊施設に滞在したい」は36%。日本の旅行者がサステナビリティに関して、興味、関心があることが分かるが、「サステナブルな取り組み=集客力」になるだろうか。人生や生活、消費活動において「目的」「意味・意義」が行動のきっかけに重要だが、それらは十人十色、多種多様だ。SDGsの取り組みなどは、特にホテルからお客さまへの「おしつけ」にならないよう、顧客の心理や、行動を理解し分析することが必要になる。
コロナ禍で消費者のライフスタイルが変化し、新しいホテルの過ごし方が広がる中でお客さまは自社に何を求めているのか。コロナ前のリピーターは、コロナ後も顧客になるのか、お客さまの「情熱」「目的」「意味・意義」を分析することが重要になる。
具体的には、(1)クチコミやアンケートなどでお客さまの具体的な声を分析する(2)PMSから顧客の購買行動を分析する(3)予約エンジンデータから、予約のリードタイムや予約内容(プラン、金額、人数、滞在期間)を分析する―など、顧客のデモグラフィックデータだけでなく、行動データが今後の顧客理解に重要になる。
(コレリーアンドアトラクト代表取締役)