深度遊、親子旅行の情報発信
中国市場では、昨年以来、個人査証の発給件数の伸長が著しく、北京の日本大使館、上海・広州の総領事館では個人査証の発給件数が団体査証の件数を上回るなど、急速な個人旅行化が進展している。そのような状況下、本年度のビジット・ジャパン事業の実施方針について特徴的なものをいくつか紹介したい。
まず、昨年からウェブやSNS(微信、微博)で実施してきた「深度遊(体験型観光)」コンテンツの情報発信を、ボリューム層である20~30代の若者層をターゲットとして、さらに拡大して行う。また、「深度遊」の中でもターゲットに広く訴求可能であり、日本ならではのディープな体験を提供できる「食」のコンテンツに焦点を当て、重点的にPRを行っていく。
もう一つは中国でも近年注目されてきているテーマ、「親子旅行」である。2014年に放送された親子旅行のテレビ番組が爆発的な人気となり、それ以降、親子旅行の市場が飛躍的に伸びている。また、小学校では夏休み期間中の自己体験を新学期に発表すること(またはレポート提出)を課題としている学校が多数あることから、親たちはいかに子供たちに貴重な体験をさせることができるか、その素材を真剣に探している。JNTOとしても今まで30~40代の家族層をメインターゲットとして取り組んできたが、さらに親子旅行に響く(子供が楽しみながら学習できる)情報の発信を本格化し、「親子で楽しめる日本」のプロモーションを実施する。
市場の個人旅行化、リピーター化が進む中、地方誘客をさらに進めるため、14年から3年間、九州を重点デスティネーションに定め、集中的にプロモーションを実施してきた。今年度から新たに、近年人気が高まっている「昇龍道」に焦点を当てる。今後3年間継続してBtoB、BtoCの両側面で、知名度向上、興味喚起から送客増加に至るまでの施策を実施し、中国各都市の海外旅行への成熟度を踏まえ、PRを強化していく。
まず初年度である今年は、知名度向上と興味喚起を中心に、旅行会社の商品造成者向け招請事業および相談会の実施を予定している。またBtoC向けには、集客が見込めるショッピングセンター内のイベント会場において一般消費者イベントを開催し、広く周知を図る。昨年度から復興事業として実施している九州と東北についても引き続き重点地域と位置付け、PRを推進していきたい。
主要ターゲットの一つである「教育旅行」に関しては、昨年から一元的相談窓口をJNTO本部内に設置しており、さらに中国からの教育旅行者の増加を推進していくため、教育旅行関係者の招請やセミナー、商談会などの事業に取り組み、訪日教育旅行の底上げを図っていく。
本年は日中国交正常化45周年、来年18年は日中平和友好条約締結40周年を迎える。これらを日中両国間の交流を促進する機会と捉え、当地において官民一体となり、オールジャパン体制で日中の懸け橋となる事業を継続していく。