高速バスターミナルにおいて、今後急速に進むと考えられる変化が窓口業務の内容である。なお、バスターミナル窓口での発券業務は、大きく「前売り」発券と「当日」発券に分けることができる。
前売りは、翌日以降の便について乗車券を発売することである。先に予約センターやウェブで受け付けた予約について発券(運賃の支払いを受け、その証票として乗車券を発券し手渡し)を行うケースが多い。
長距離・夜行路線を中心に、「予約後、何日以内に発券がなければ自動キャンセル」というふうに発券期限を決めている路線に多い。なお、事前に座席を予約せず、直接、窓口に来店する乗客もいる。
当日は、文字通り当日乗車分の発券を行うことであるが、予約センターやウェブで受け付けた予約について発券を行うケースと、予約のない乗客に「新規発券」を行うケースがある。ターミナルによっては、満席便について、発車時刻ぎりぎりになっても現れないノーショー客の座席を予約のない乗客に発券する「キャンセル待ち」を行う場合もある。いずれも、短・中距離の昼行路線が中心である。
このうち前売りについては、既に分量が減っている。ウェブ上でのクレジット決済が苦手な人でも、コンビニのマルチメディア端末(ローソンの「LOPPI」など)などで発券すれば、わざわざバスターミナルまで足を運ぶ必要がないからである。
一方、当日発券の数はいまだに多い。短・中距離の昼行路線では、鉄道(新幹線や特急電車)の自由席と競合するうえ、「予定が変更となるかもしれず、発券(支払い)はなるだけ乗車直前にしたい」というニーズが多く、事前の発券期限を設けていないためだ。特に、発券した後は乗車便の変更を柔軟に行えなかったり、便に乗り遅れた場合、運賃が払い戻しされなかったりする点が、リピーターが当日発券を希望する背景だった。
だが、ITを活用することで当日発券を減らす試みが始まっている。
(高速バスマーケティング研究所代表)