また、バスターミナルのバース(乗降口)運用は大きく二つに大別できる。
一つ目は、路線ごと(または便ごと)にあらかじめバースが割り振られ、何時発のどこ行きが何番乗り場から発車するか、時刻表などに明記できるケースである。もう一つは、バスがターミナルに入線してくるタイミングで、無線などによってバース(番線)を指定し、放送やデジタルサイネージで旅客に案内するケースである。
旅客案内上は、前者の方が分かりやすいことは明白だ。一方、バスの入線が遅れるなどして定刻に発車できず発車時刻を過ぎてもバースを占有している状況で次の便が入線してきてしまった場合など、ターミナル構内でバスが数珠つなぎになってしまうというようなことも起こる。
後者であれば、その時点で空いているバースに誘導しすぐに乗車改札を開始することができる。乗車と降車を同じバースで運用する場合や、始発便だけでなく当該ターミナルを途中経由地とする便が多い場合などでは、あらかじめバースを割り振らない方が発着間隔を詰めることができ、結果として発着便数を最大化することができる。
もっとも、前号でご説明した乗車・発券オペレーションのうち、(1)自由席制の路線については、先着順乗車であるため乗客に並んでもらう必要があり、原則としてバース番号をあらかじめ告知しないといけないため、後者の運用は無理である。
また、(2)予約を受ける(座席指定制、予約定員制)ものの発券期限を設けず、乗り場での当日発券(現金収受)が多い路線では、発車時刻の直前に予約済みの乗客が発券のため列を作るので、窓口の数を多くとる必要がある。
最近では、窓口を奥まった場所に配置し自動券売機に誘導するケースもあるが、その場合でもフロアに案内員を配置し、発車時刻が近付いている便の乗客を優先して券売機に誘導するなど発券待ちによる乗り遅れや発車遅れをなくす工夫が必要である。
(高速バスマーケティング研究所代表)