第4回旅館甲子園が2月20日に有明・東京ビッグサイトで開催されました。
全国から1230の施設が参加し、1次審査には105施設が通過。2次審査で10施設に絞られ、決勝に残ったのが、新潟県松之山温泉「酒の宿 玉城屋」、群馬県伊香保温泉「ホテル松本楼」、群馬県四万温泉「柏屋旅館」の3軒。
この三つの旅館の皆さんが、特設ステージでプロモーションビデオ5分、プレゼンテーション15分、計20分の持ち時間で競います。
それを見た約千人の来場者と審査員による投票で、見事、グランプリの栄冠に輝いたのは「酒の宿 玉城屋」さんでした。本当におめでとうございます。
ちょっと裏話を。私自身も、無事に終えてほっとしています。というのはこの日、司会進行役の大役を仰せつかっていたのです。
常日頃、旅館の応援団でありたいと思っている私は、「まゆさん、司会お願いできないかな」という事務局メンバーであり、旧知の貝掛温泉の長谷川智丈さんからのご依頼に、お役に立ちたい一心で、二つ返事で引き受けました。
しかし、司会のプロでもない私が、千人規模のイベントの大舞台に立つことへの緊張たるや。実際、進行中に見苦しい場面も、さぞや、あったことだろうと思います。
でも、引き受けて、本当に良かったです。
少しでも分かりやすい解説ができたらと前日のリハーサルを見学し、各旅館の皆さんの心持ちなどをインタビューすることができました。
出場3回目になるホテル松本楼さんは、インフルエンザのまん延で全員そろってのリハーサルは前日のみ。当日は、松本楼で働くスタッフ全員が伊香保温泉からマイクロバスでやって来て、有明のステージに上がりました。それは旅館甲子園に出場することをモチベーションに、松本楼さんが旅館として成長してきた軌跡でもあったからです。
柏屋旅館さんの映像の中には「スタッフはみな家族。お客さまもやはり家族。そのために賄いにお客さまに出す素材も使いながら力を入れる」という料理長の表情が記憶に残りました。スタッフとお客さんの距離の近さを目の当たりにしました。
アピールは三者三様。それぞれがどの点に力を置いて宿作りをしているかが顕著に理解できました。全力でアピールされる姿を舞台袖から見ながら、私は3軒全てがグランプリだと感じました。
そして第4回旅館甲子園の事務局の皆さんとの出会いや交流も私の財産となりました。全旅連の青年部が開催していますから、事務局のスタッフは名湯、名旅館の若旦那たち。当日に至るまで、打ち合わせに参加してきましたが、そのたびに、全国から駆け付ける若旦那たち。人に任せず、ご自身で汗を流している姿に胸が打たれました。だって司会の相方も、若旦那。磐梯熱海温泉の栄楽館の菅野豊臣さんなのですから。
この日は、旅館ホテル業界の力強い未来を見ました。
第5回は2021年に開催を予定しています。私も応援していきたいと思っています。 (温泉エッセイスト)