コロナ禍発生からすでに1年半が経過した。ある程度の年齢になった私は、外出を控え、学生へのZoomによるオンライン授業にも少しずつ慣れてきた。忙しい時はいつも、いつになったら暇になるのだろうと考えていたが、家の中にこもるようになって、それも苦痛であることを知った。
気晴らしに、ここ数カ月、井之頭五郎が主人公の「孤独のグルメ」にはまっている。五郎に連れられてあちこちを巡り、飲んだり食べたり、時にはテレビを見ながら、友人たちとオンライン飲み会に興じている。
8月20日放映の「孤独のグルメ」Season9第7話では、五郎は東京の新小岩で貴州の火鍋を食していた。発酵の酸味と驚くべき量の唐辛子が貴州料理の特徴である。五郎は、あまりの辛さに大汗をかきながら、「やさしい味」「竜と虎が闘っている」「貴州のおふくろの味」と表現していた。一体どんな味なのだろうか。
私は見ているうちに、どんどん引き込まれていった。第7話の終わりに、五郎が私の気持ちを代弁してくれた。「貴州か、行ってみたいなあ」。
ヤフーのウェブサイトにも、中国・貴州に関する記事は少なく、知っているのは、少数民族が多く住む地域であることぐらいだ。幸運にも、ユーチューブに一連の動画を見つけた。およそ40集から成り、内容は人文、地理、歴史等各方面に及ぶ。分かりやすい日本語で語られており、現地の写真や映像も多く取り入れていた。
はじめ、NHKの旅番組かと思ったが、発信元は貴州現地で、タイトルは「Live in Guizhou」である。第1集では、貴州と日本の食文化を比較し、日本のおにぎりと貴州の糯米飯(ヌオミーファン)、日本のうどんと貴州の腸旺麺(チャンワンミェン)、日本のすき焼きと貴州の豆米火鍋、日本の和菓子と貴州のバーバー(「バー」の漢字は「米」ヘンに「巴」)、日本のみそと貴州の老干媽辣醤(ラオガンマーラージャン)の違いを紹介していた。
特に印象的だったのが、日本のみそと貴州の老干媽辣醤の比較で、第1集を見終わって、私は貴州の火鍋と副菜を説明する五郎の食レポを理解することができた。
コロナ禍はいつになったら収束するのか。私の「やりたいことリスト」には、神秘の地・貴州を訪れることが加わって、楽しみが増え、外出できない不満を和らげてくれている。コロナ禍が収束したら、ここを訪れようという希望をもつことによって、感染予防にも力が入るのではないだろうか。
貴州省紹介サイト