自然にも故郷にもやさしい宿
岩手県平泉町の「奥州平泉温泉そば庵しづか亭」は、自家菜園の開設や介護事業の運営など、「自然にも故郷(ふるさと)にもやさしい宿づくり」を進めている。
里山にある1軒宿の同館。平泉の世界遺産登録後、一時の盛り上がりから観光客が減少傾向にある中、「外部に頼らず、自分たちの手で魅力アップを」と、事業に取り組んだ。
自家菜園は2013年にスタート。林を切り開いて作った菜園で、約100種類の野菜や果物を地元農家の協力のもと栽培している。宿泊客に向けては、野菜がもぎ取れる「朝さんぽ」や野菜を使った染色イベントを開催。宿のファンづくりに努めている。
介護事業は2018年から。「ミニデイサービスしづか亭」の名称で、地域の高齢者に施設を開放している。音楽に合わせてリズムを取ったり、歌ったりという音楽療法を指導。温泉入浴や、食べやすく栄養を考えた食事も付き、「介護施設らしくないサービスがうれしい」と好評だ。
館内は車いすでも利用しやすいようリニューアル。「これからも人に優しい取り組みを進めたい」。