東日本大震災から5年目の錦秋の秋を迎えた、福島県南会津において、第13回「全国ほんもの体験フォーラムin福島・南会津」が開催され、地元はもとより、北海道から沖縄まで全国各地から800人近くが参加した。復興支援と風評払拭のためにも大変意義深いことである。
都市と地方の人口格差は広がる一方であるが、命の源の食料生産現場は農山漁村であり、その役割は極めて大きい。
また、地球温暖化の影響は海面や気温の上昇が進み、過去に経験のない台風やゲリラ豪雨などの気象現象が相次ぎ、海洋生物の生息域の変化や漁獲量の激減など多大な影響を及ぼしつつある。そのCO2を吸収し酸素を排出する森林面積は国土の約66%であり、そのほとんどが田舎である。
生きるための「食料」も「酸素」も農山漁村でつくられており、日本の田舎の価値は大きく、そこに多くの都市住民が訪れて体験し、確かめ、学ぶことの意義は計り知れない。まさに「体験型観光が日本を変える」ことになる。経済効果も精神効果も高く、地方創生の切り札と言われる所以でもある。地方自治体の首長の覚悟と行動にかかっていると言える。そして、その教育効果は多様な分野に及び、学校教育のみならず、CSRや社員教育や訪日外国人にも有効であり、今、まさにマーケット拡大の好機である。
つまり、体験型観光推進による農山漁村の活性化こそが、地方創生への成果として現れる。
フォーラムでは、取り組み始めて20年になる先進地はもとより、取り組み始めた地域も、これから始める地域にとっても、課題や体験から、その手法やノウハウについて学び、理解する機会となった。
フォーラムの討論に併せて、日本中から参加する志の高い多くの人々との交流や情報交換は、テーマでもある「体験型観光が日本を変える」ムーブメントとなったと確信している。人間力、心の豊かさ、人への思いやり、命の尊さ、足りないもの、失われたものがあまりにも多い今日。体験型観光はそれらを取り戻す大きな可能性を持っている。
プラットフォームやDMOなどと、今さら言われるまでもなく、20年も前からその必要性を訴えてきて、今、多くのコーディネート組織が活動しており、重要な役割を担っている。そしてそれには官民一体、地域一丸となって取り組む、知恵と行動が求められている。
当日は、弁当も、500人に及ぶ情報交換会の食事や酒も、地産地消にこだわったメニューであり、食育の面でも田舎の潜在能力の大きさを知ることになった。それら多くの意義や課題を理解し、大いに交流し、情報交換し、実り多いフォーラムになったと確信している。参加者の各地域でのさらなる活躍を期待したい。参加者、準備運営にご尽力頂いた関係者、多くの皆さまのご厚情とご労苦に対し、深い敬意と感謝を申し上げたい。第14回は2018年3月に奈良県飛鳥地域で開催される。また多くの人が集ってほしい。