ロシアのウクライナ侵攻は、ロシア軍兵士による子どもや婦女子など武器を持たない民間人がレイプされ、拷問され、処断され、遺体が焼き捨てられたり、住居や商店からの略奪も相次ぐなど、首都キーウへの取材が進むにつれて、非人道的な暴挙、蛮行が明らかになってきた。
この期に及んで、ロシアはそれはフェイクニュースであると言ったり、何をやっても、やっていないと言い、また、やったのはウクライナ兵だとか、「偽旗作戦」もここまでやると呆れ果ててしまう。ロシアが侵攻をしなければ何も起こらず、疑われることはないはずだ。
国連の人権委員会ではロシアのメンバー資格を停止する決議案を賛成多数で採択した。安全保障理事会常任理事国であるロシアが国連機関から追放される異例の事態となった。それでも多国籍の国連軍の軍事的な介入ができないなら停戦合意はままならない。
同様にままならないのが、新型コロナウイルスの感染者が国内でも若い世代を中心に増加に転じだしている。第7波の襲来ではとの懸念も出てきている。英国ではすでにBA2からこれまでのコロナ変異株よりもさらに感染力が10%強いといわれている「XE」と呼ばれる変異株が発見されている。
ここに来て気候は春本番であり、つい出かけたくなるような陽気になった。3月後半から航空会社も東海道新幹線の予約状況も前年を大きく上回り、観光業界に活気が戻りつつある。しかし、さらに弾みがつくはずのゴールデンウイークを前にして、水を差されかねない状況である。
また、連休明けから始まるはずの春の修学旅行シーズンも、3年連続で延期になる可能性も考えられ、旅行業界に影響が及ぶことが懸念される。さらには、その業界が待ち焦がれている「Go Toトラベル」再開の見通しも遠のくことになる。
学校で感染した中学生から家族全員が感染してしまった身内がいるが、大人は3回、中学生は1回目のワクチン接種を済ませていたこともあり、誰も重症にはならず、2~3日で症状が治まった。結果的にはインフルエンザ程度かそれよりも軽症な印象がある。
若者のワクチン接種が進み、経口薬の認可を視野に入れて、感染症法で「新型インフルエンザ等」に位置づけられ、結核や重症急性呼吸器症候群(SARS)と並ぶ「2類相当」にある。このため、入院勧告や就業制限など厳しい措置と同時に行政や医療機関、保健所の負担は大きい。
ひっ迫した病院では通常医療が制約され、企業や教育現場などは濃厚接触者を含めた対応に追われてきた。季節性インフルエンザや麻しん(はしか)などと同じ「5類」に引き下げ、行政や保健所などの負担軽減は当然ながら、社会経済への影響の軽減を図ることも視野に入れるべき時が来ている。
ロシアへのウクライナ侵攻に対する制裁の跳ね返りの影響である原油や小麦などの値上がりに加えて、円安も進み接客サービスや観光業などの社会経済の停滞は深刻なものであり、政治の勇気ある決断が求められている。