【体験型観光が日本を変える228】経済回復に向けた一手を 藤澤安良


 東京の新型コロナ感染者が48日ぶりに千人を下回る日が出てきた。また、前週を下回る日が続いている。しかし、重症者と死者や病床逼迫(ひっぱく)は予断を許さない状況が続いており、12日までの緊急事態宣言が19都道府県と、まん延防止等重点措置の8県が9月末まで再延長されることになった。

 1月から9月末まで、東京においては宣言や重点措置が出なかった日は28日間のみであり、もはや緊急でもまん延でもなく、万年緊張事態であり、そんな緊張は長続きしない。新たな展望に基づくインパクトある政策を駆使し、国民の感染防止の意識醸成が急務である。

 そんな中、自民党の事実上の総理大臣を選ぶことになる総裁選挙のマスコミ報道が過熱してきた。残念ながら、迫っている衆院議員選挙の当選やポストにつながる思惑ばかりが見え隠れしている。

 次の国のリーダーには、国民生活を維持するための新たなコロナ対策や、多くの課題を何をどう解決するのかという具体的な議論を深め、迅速な決断と行動と、国民やマスコミの疑問に真摯(しんし)で正直に応える姿を望みたい。

 いいニュースもある。抗体カクテルなる治療薬の投与が軽症者を中心に始まり、症状が好転した人が75%にも上っており、今後の期待が膨らむ。

 観光経済においても、日本人に人気のハワイでは渡航時にPCR検査が陰性なら現地での隔離が免除となり、米国人の観光客は戻ってきているものの、1日の消費額が格段に多い日本人の渡航が増えていない。

 私も10月に航空券もホテルも確保しハワイ渡航を予定していたが、帰国後の自主隔離日数が14日と長く、業務に支障をきたすこととなり断念した。オリンピックやパラリンピックでは、外国人選手団が検査陰性で日本入国後の14日間の隔離をせずに開催された。今後は帰国後に空港等水際での検査体制を強化しつつ、自主隔離を免除することが求められる。

 前週にも触れたが、「ワクチン・検査パッケージ」が提案され、経団連からも、渡航後の自主隔離期間にも触れるなどの経済回復に向けた提言が出された。それらについて議論が始まっており、社会経済活動の回復を期待したい。

 現下においては、不要不急の外出を控える時期ではあるが、いろいろな地域の宿泊施設の予約状況をネットで見ているが、コロナ禍で宿泊キャパを少なくしている影響もあるのか、満室の日も少なくない。

 予約がほとんど入っていない施設もあるが、地域の特色を生かして、地産地消の料理や宿の個性をアピールし、観光や体験などの旅の目的提案を明確にやっている宿はコロナ禍でも稼いでいる。 

 「Go Toトラベル」の再開を望む声は大きい。しかしそれは、特効薬でもあり、劇薬でもある。努力せずとも実績は上がるが、なくなると全くお客が来ないことになりかねない。

 コロナ禍は、オフシーズンに基礎体力作りをするアスリートの境遇と似ていて、Go Toがなくても業績を上げられる、魅力ある地域や宿になるよう持っている資源を磨き上げ、力を蓄える時である。

 
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