【体験型観光が日本を変える 158】東日本大震災から9年に思う 体験教育企画社長 藤澤安良


 東日本大震災から3月11日で9年がたった。被災者は死者・行方不明者、関連死者合わせて2万2千人を超える。犠牲者の冥福を祈りたい。

 また、道路や防波堤など土木工事の面では復興に向かっているが、今なお避難者も4万8千人近くになり、放射線量や仕事や暮らしや所得は復興と言えるには遠いものがある。

 道が整備され、館が再建されても、人口が減り続け、観光誘客が進まなければ、利用する人が減少の一途をたどり、田舎の人が都会に出かけるだけの道となる。

 地域振興や観光振興の分野でも苦戦が続いている。ソフトの面での復興に向かうはしごが足りないし、それを成し得る財源の手当てが不可欠である。住む人は少なくなっても、交流人口が拡大し、人の活気があってこそ、真の復興と言えるのである。そんな、仕組み作りが必要である。

 その東日本大震災の経済損失を超えるであろうと思われるのが新型コロナウイルスの感染拡大である。世界保健機関(WHO)はパンデミックと言い出し、すでに数兆円に上る。

 そんな弱みに付け込んで、関連詐欺も出てきたり、全くのうそのデマをネットに書き込む卑劣極まりない行為が広がっている。病気も怖いが、直接発言しない、顔が見えない状況を悪用した許し難い行為であり、平気でする人間がいる国も、ネット社会も恐ろしい。人間性の復興も必要な時代である。

 外出、イベントの自粛、スポーツは軒並み中止や無観客試合など何とも活力がないことばかりである。選抜高校野球まで中止になった。それに輪を掛けたように旅行の自粛ムードも高まり、いよいよ5月の修学旅行の日程の延期への動きも始まった。

 日程を後にずらして、同じ方面で同じ宿が理想ではあるが、仮に秋へ移そうとしても、すでに秋に予約を受けている地域は振り替え分を吸収できないことになる。

 旅行業界としては中止にさせては経営が成り立たない。方面変更しても何とか実施したいと考えるのは当然のことである。

 著名な目的地ではない日本の田舎では、それらを全て受け入れられるキャパシティがある。今回の流れから、先行き不透明なれど、一刻も早い終息を願うという希望的観測から、いったん考えられる候補日としては、6月下旬から7月中旬や、8月下旬から10月上旬になる。

 全国ほんもの体験ネットワーク会員から受け入れ可能な空き状況を収集したところ、幸か不幸か、これらの日程は元々好まれなかった日程なのでいずれの地域もかなり空いている。

 とにかく、修学旅行を中止にさせない努力を学校の現場と旅行会社、受け入れ地域が一丸となって取り組まなければならない。卒業までに何とか実施してほしい。

 にわかに増えた春休みを考えれば、366日の日程の中で夏休みも、運動会も、試験もあらゆる学校行事を動かせばいい。そういう柔軟な考えがない学校現場が変われるチャンスかもしれない。新型コロナ肺炎のこの難局に人類や地球や日本がどう打ち勝つのかが試されている。

 
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