【体験型観光が日本を変える 145】体験教育を社員教育に 体験教育企画社長 藤澤安良


 ラグビーワールドカップ(W杯)の観戦チケットは99.3%とほぼ完売であった。またパブリックビューイングを見て応援した人が113万7千人にも及んだ。国民のラグビーに対する意識が高まったことは間違いない。

 また、野球の世界一を決める「世界プレミア12」において、見事に日本代表チームが優勝した。来年に迫った東京オリンピックへの出場権をめぐり、スポーツで日本人の強化が功を奏し、いろいろな種目での活躍が目立っている。そのたびに、感動する場面があり、平和の祭典のオリンピックが楽しみである。

 一方で悲しい事件も後を絶たない。14歳の中学生が小学生の女児を切りつけ、殺人未遂で逮捕された。「誰でもいいから殺してみたかった」と言ったという報道がある。依然として、虐待が増え続け、命までも奪われる事態も増えている。

 不登校生徒数はなんと前年から約2万人も増え16万4528人となった。学校の教員同士や消防士仲間でも陰湿ないじめが起こった。いじめても、傷付けても、殺しても、心は晴れないはずである。人間力の欠如が著しいと感じることばかりである。

 小さいことにも気が滅入る。空港での機内持ち込み手荷物検査場が上着のジャケットまで検査され、より混雑が増している。スタッフの手際の悪さは改善されない。

 ペットボトルの飲み物検査を行うのは当然であるが、スタッフが「飲み物を検査してもいいですか」と言う。では「駄目だと返事したら検査はしないのか」と聞くと、どうしてもするようだ。だったら、声の掛け方がおかしい。問い掛け型ではなく「飲み物を検査します」というべきである。

 なるべく軋轢(あつれき)を生まぬようにやさしく言っているつもりなのだろうが、正しい日本語の使い方にすべきである。その機内持ち込み手荷物でも規定の大きさより明らかに大きい人がいる。なぜ通してしまうのか。厳密でないために少しぐらい大きくてもいいという観念でルールがあやふやになる。

 エスカレーターも歩かないで下さいと書いておきながら、片方を空けて乗り、歩く場合はこちらですと言わんばかりである。2列で止まって乗れば輸送量は増えるように思える。悪しき慣習である。駅での電車の出発時刻の案内で、時々さんぷん(3分)をさんふんと言ったり、よんぷん(4分)をよんふんという人がいる。公共で多くの人が聞くアナウンスが間違っている。組織内での指導はどうなっているのだろうか。

 ある日本の一流企業が人事評価を変えようとしている。業績の良い人や声の大きい人、あるいは上司に媚(こび)を売る人が出世する傾向にあるが、部下や同僚や取引相手からの信頼が厚く、尊敬され人間力がある人こそ上に立つべき人であると考えるようになったと言っている。それらの全ては、教育機会が必要になる。

 会議室や研修室ではできない教育が求められている。大自然や農山漁村を舞台とした体験教育プログラムが人間力向上に大きな教育効果をもたらすことになる。ぜひ、社員教育に取り入れてほしい。

 
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