【体験型観光が日本を変える 132】戦後74年目の日本 体験教育企画社長 藤澤安良


 8月15日、戦後74年目の「終戦記念日」を迎えた。沖縄戦や本土各地への空襲、そして広島・長崎の原爆投下などの悲惨な出来事は知られているが、大戦の激戦地でとりわけ日本軍が大敗した南太平洋の戦地を懐古検証するテレビ番組が相次いだ。

 復員兵の苦悩に満ちた体験談を聞き、知れば知るほど、いずれも到底作戦などといえるようなものではない残虐で無謀な戦いに、悲しさと憤りを感じずにはいられなかった。改めて平和の尊さを確認する機会にしなければならない。

 なのに、外交の問題ではいずれも国のトップが国民のことを考えているというより、選挙に勝ちたいだけのわが身の保身が優先されていると感じているのは私だけではない。身近な日韓関係が厳しい場面を迎えている。

 政治問題が貿易問題にまで発展し、日本製品の不買運動にまでエスカレートしてきている。さらには、訪日観光客の韓国人の割合も激減している。

 一方、逃亡犯条例改正案を巡って香港ではデモが繰り返され、国際空港に座り込み、機能が麻痺し航空機の欠航が約400便に上り、観光客に大きな影響を及ぼしている。死者やケガ人が出ており、警察や軍隊による重火器を使っての、無理な制圧にならないことを願うばかりである。

 韓国へも香港へも旅行は行きにくくなっている。日本ではお盆の真っただ中に大型の台風10号が広島県に上陸し、全国を暴風雨に巻き込み、交通機関も運休を余儀なくされ、帰省や旅行に大きな影響を及ぼし、お盆がかき入れ時のはずの観光産業への打撃も大きい。

 平和で平穏こそが経済と観光での交流につながり、相互の幸福につながるものである。当事者間での一刻も早い関係修復と鎮静化を望みたいものである。台風など自然の猛威は天災であり、人間がそれらに合わせて防災対応する以外にないが、国際問題や社会問題の多くは人災である。

 後を絶たない放火や殺傷事件、最近の悪質なあおり運転など自己中心的な行動が目に余る。

 互いの国のこと、国民、地域コミュニティ、職場、友人や家族のことなど、自分のこと以外の方が圧倒的に多い。自分以外の人のことを考える余裕や気持ちがない場合が多い。家庭、学校、職場などの教育機会を拡大し、人の立場や気持ちを理解する機会が必要である。

 訪日外国人は爆発的に増えているが、道案内以外の交流機会は増えたのだろうか。少なくとも私は電車の乗換案内以外の機会がなかった。家族以外との交流がない、引きこもりが15歳から64歳まで115万人にも上る。人は人に学ぶ。つまりは、人間がもっともっと人と交流しコミュニケーションをしなければならない。それには、体験教育と体験交流型の観光推進しかない。

 訪日外国人の消費がドラッグストアばかりで伸び悩む中、国際交流を推進する体験プログラム開発と商品化は急務である。学校教育・職場教育は机上学問では得られない人間関係学を体験交流で学ぶべきである。世界の未来を拓くのは人の心の豊かさにかかっている。

 
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