【交通トレンド分析43】地方空港からの国際線は、ほぼ全便欠航に 航空・旅行アナリスト 鳥海高太朗


 新型コロナウイルスによる影響は日増しに大きくなっている。既に中国路線は、大半の便で欠航となっているが、この1週間で大きく変わったのが韓国線である。3月9日(月)午前0時以降、韓国から日本へ向かう便の受け入れを成田空港、関西空港の二つの空港に限定し、韓国、中国、香港、マカオから入国した場合には、日本入国後に2週間の自宅待機(外国人はホテルなど)することを要請すると共に、日本政府、韓国政府は共に、日本人が韓国へ向かう場合、韓国人が日本へ向かう場合においてビザ免除での入国を認めない決定をしたことで、特に韓国便においては、成田・関西発の数便を除いたほぼ全便が9日より欠航となった。

 筆者は、2月28日に成田空港、3月7日に関西空港と福岡空港、9日に中部国際空港と羽田空港の国際線チェックインカウンターを取材していたが、羽田空港、成田空港、関西空港は、東南アジア便や欧米便、中東便などが運航されていることから、ある程度の利用者の姿を見ることができた。しかし、中部国際空港や福岡空港では、東南アジア便や一部の欧米便の運航があるものの、中国・香港・韓国便の便数比率が高いことから、出発フロアにいる利用者はわずかだった。

 このような状況のなかでより深刻なのは地方空港だ。特に北海道は新型コロナウイルスの感染者も多く出ていることで、ほとんどの便が欠航になっているほか、地方空港に乗り入れている便のほとんどが韓国・台湾・中国・香港便で、台湾便の一部を除いては、ほぼ全便欠航となっている。

 地方空港では国際線の運航が完全ストップになってしまった。SARSの時もそうだったが、このような件が発生すると真っ先に影響が出るのが観光であり、すぐに運休という判断を決断する航空会社も多い。地方路線を支えるのはインバウンド観光で、乗客が1桁になっている便も実際にあったそうだ。

 一定のビジネス需要がある東京、大阪などを発着する路線の場合は、旅客数が減少しても、どうしても移動しなければならない利用者が一定数いることで、ある程度の期間を飛ばした上で判断することになる。加えて、旅客だけでなく貨物搭載がある場合にはその点も考慮した上で運休するかどうかを決断することになる。

 まだ先のことになるが、便が再開される際にもまずは主要空港の路線からとなり、その後に地方路線となることから、影響が出る期間はさらに長くなる可能性が高い。そういった意味ではGW前に再開してほしいと願うばかりだ。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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