11月6日の午前9時前に国内線の空の玄関口である羽田空港第1ターミナルと第2ターミナルが断水に見舞われた。JALやスカイマークなどが出発する第1ターミナルでは、水質の安全が確認されたことで午前11時ごろには復旧したが、ANA便などが出発する第2ターミナルでは、水道水に含まれる塩分の基準が規定値を上回る状況が確認されたため、安全が確保されるまで断水が続いた。
最終的な原因が記事執筆時点では明らかになっていないが、貯水槽の水を全て抜いた上で、再度水を送り込むことにより、水質の安全が確保されたことで発生から2日後の8日金曜日の午後に第2ターミナルでも給水が再開された。
今回、幸いにも運航への影響はなく、通常通り飛行機の発着が行われたが、最も影響が大きかったのが第2ターミナル内の飲食店だった。ほとんどの飲食店では水を使うことから、調理などに影響が出たことで店を開くことができず、給水が再開されるまで一時休業に追い込まれてしまった。
不幸中の幸いだったのが、コンビニエンスストアや売店などでお弁当の購入ができたほか、飲み物も通常通りに購入できた。休業しているレストランにおいては、水の供給ができないことから店が営業できていない旨の張り紙が貼られていた。
私も発生した数時間後のお昼前後から第2ターミナルで取材を続けていたが、日本人は一時休業していることについてすぐに理解できたが、レストランの前では外国人観光客と思われる人たちが不思議そうに、なぜ昼間の時間帯なのにほとんどのレストランが休業しているのかが分からない状況で、英語がしゃべれる日本人が外国人に対して口頭で説明している光景も見られた。もし国際線ターミナルで同様のケースが発生しているのであれば、英語などの外国語表記がされていた可能性は十分に考えられるが、今回は国内線ターミナルで発生したこともあり、表記については基本的に日本語のみであった。
訪日旅行客が増えるとともに、東京や大阪などの主要都市だけでなく、地方都市へ羽田から国内線を利用して飛ぶ外国人観光客が年々増えている。今回の教訓としては、イレギュラー時が発生した際に、日本語だけではなく英語や中国語、韓国語を含めた多言語で迅速に掲示およびアナウンスができる体制を再度整備すべきであると感じた。
来年は東京でオリンピックが開催されるが、イレギュラー時における外国人への案内について再度考える時期に来ているのではないかと思う。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)