【交通トレンド分析112】帰国時必用な陰性証明書。検体、検査方法に注意 鳥海高太朗


 海外から日本に帰国する際、日本行きの飛行機が出発する72時間前以内にPCR検査を受け、陰性証明書を取得しなければならないルールとなっている。

 私は、7月上旬にハワイから、そして8月中旬にロサンゼルスから日本に帰国しているが、日本人渡航者の多いハワイでは日本人向けの日本語で通じるPCR検査ができるクリニックがいくつかあることから、帰国前の陰性証明書の取得は、それほど苦労することなく検査ができた。だが、ロサンゼルスから帰国する際にはどこでPCR検査ができるのかという情報が少なく、現地在住の駐在員の方に相談したところ、ロサンゼルス国際空港内にあるPCR検査が可能なラボ(検査場)で日本向けに対応した検査ができることが分かった。ロサンゼルス空港到着後にすでに帰国便出発72時間を切っていたことですぐに検査をしてきた。

 ここで注意しなければいけないのは、日本政府が求めている陰性証明書は、「鼻咽頭(びいんとう)ぬぐい液」「唾液」「鼻咽頭ぬぐい液・咽頭ぬぐい液の混合」のいずれかの検体採取方法のみが対象となっている点だ。海外では、鼻の先端部分(2センチ程度)を綿棒で拭う形の「鼻腔(びくう)ぬぐい」での採取方法も多く、この方法で行った場合の陰性証明書だと日本に入国することはできないことになっている。

 詳細については厚生労働省のホームページに記載されており、検査方法の英語名も書かれているので、今後海外へ出掛ける予定がある場合には、事前に確認しておくと良いだろう。また検査方法についても、抗原検査は認められていないので併せて注意が必要となる。取得した陰性証明書は、飛行機のチェックイン時に航空会社の係員によってチェックを受けることになっており、正しい検体の採取および検査方法でなければ、飛行機のチェックイン手続きができない運用になっている。

 取材を進めてみると、実際に日本政府が認めていない検体だったことで、予約していた便に乗れなかったというケースも起こっている。

 現在ではチェックイン時に確認をしているが、運用当初は日本到着時に陰性証明書の要件を満たしておらず、日本人でありながらも日本に入国できなかったケースが実際に起こったという報道もあった。

 ワクチン接種が進み、新型コロナウイルスの感染者が減少してくれば、海外へのビジネス出張や旅行に出かける人も増えることになるが、もし海外へ出かける際には帰国時のPCR検査をどこで受けるのかも事前に考えておく必要があるだろう。

 (航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)

 
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