6月20日で沖縄県を除き、緊急事態宣言が解除された。引き続き、まん延防止等重点措置が東京、神奈川、千葉、埼玉、北海道、愛知、大阪、兵庫、京都、福岡の都道府県に7月11日までの予定で発令されている中で、6月21日の月曜日以降、明らかに国内線や新幹線の利用客が増加傾向となっている。
3回目の緊急事態宣言中においては、旅行者においては一定の需要はあったが、企業のビジネス出張においては、出張を禁止している企業が大勢を占めていた。だが緊急事態宣言が明けたことで、引き続き会食などは自粛するが、出張禁止を解除している企業も出てきた。また単身赴任者についても緊急事態宣言が明けたことで、6月26、27日の週末を使って自宅に戻った人も多かったと聞く。実際に金曜日の夕方以降の羽田発の福岡、新千歳、伊丹などの幹線路線で満席便も出ていた。
新幹線においても金曜日の夕方以降に東京駅を発車する乗車率も緊急事態宣言中に比べると上昇していたと利用者は話す。またその他の平日でも羽田空港ではスーツ姿のビジネスパーソンの姿もこれまでより多く見られるようになるなど、出張需要の回復傾向は明らかである。
私自身も26、27日の土日に羽田空港を訪れたが、駐車場は満車にはなっていないが、久しぶりに多くの車が駐車している光景を目の当たりにした。やはり緊急事態宣言が解除されたことにより、旅行で飛行機を利用する人が増えている。その背景には夏休みを前に各航空会社ではコロナ前には見られなかったセール運賃を夏休みの繁忙期も含めて積極的に販売していることも背景にある。割安感があることで新型コロナウイルスの感染症対策をしっかりとった上で旅行に出かける計画を立てる人が増えている。
出張者、旅行者の両方に見られる傾向として、出発前に積極的にPCR検査を受ける人が増えている。羽田空港の第1ターミナル、第2ターミナルの両方に木下グループのPCR検査センターが設置されており、羽田空港を訪れるたびに利用状況を見ているが、行列にはならないが、多くの時間帯で抗原検査、PCR検査を受けている人の姿を見ることができる。特に15分で結果が出る抗原検査は、事前の予約が必要になるが1時間前に空港に到着しても間に合うことでリピーターも増えている。
再び感染者の増加傾向も見られる中でも、東京において緊急事態宣言が解除されている間は昨年よりも利用者が増えている状態はしばらく続きそうだ。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)