沖縄県に5月23日から6月20日までの期間、緊急事態宣言が発令されている。ゴールデンウイーク(GW)期間中には本州から多くの観光客が沖縄を訪れた。
東京都や大阪府などでは緊急事態宣言が発令されていたが、GW前の沖縄は1日あたりの新型コロナウイルスの新規感染者が50~100人で推移していたことで観光客は訪れた。だが、GWが終わってから感染者数が拡大し、5月20日には初めて200人を超え、5月22日には231人を記録したことで沖縄県が政府に対して緊急事態宣言の発令を要請した。沖縄本島だけでなく、特に石垣島においては感染者数が急拡大し、GW中の人出がGW明けの感染者数に反映されている可能性が高い。ANAとJALが発表したGW期間中(4月29日~5月5日)の利用実績を見ると、ANAでは国内線全路線平均でコロナ前の2019年と比較して旅客数で36.6%の水準だったのに対して沖縄方面への旅客数は48.1%の9万6840人、JALでも2019年と比較して旅客数で36.5%の水準だったのに対して沖縄方面への旅客数は53.1%の4万1919人となっている。数字だけ見ても、他の路線以上に沖縄へ向かう路線の利用者が多かったことが分かる。
沖縄の旅行会社関係者に電話取材をすると、国際通りにおいては閑散とした状況が続いているが、リゾートホテルには多くの観光客が宿泊し、周辺の飲食店もにぎわっていたと話す。GW中、沖縄県では飲酒は午後7時まで、飲食店の店内営業は午後8時までとなっており、ギリギリまで飲食店でお酒を飲んでいる光景が見られるという。また、午後8時以降はホテルなどの部屋で飲むために、リゾートホテルに近いコンビニではアルコール飲料を購入するためにレジに行列ができていたとのことだ。
東京や大阪などでは終日、飲食店でのアルコール提供を見合わせていたが、時間が限られるが沖縄県内ではお酒の提供が継続されたことで、感染者数が拡大したと考える宿泊、旅行関係者も多いと聞く。
ただ、沖縄に住んでいる人も含めて、お酒の摂取量が多いといわれている沖縄県では経済界からアルコール提供の見合わせに対する反発が多く、1日の感染者数が200人を超え、緊急事態宣言が発令されたことでようやくアルコール類の提供が終日見合わせとなった。沖縄の宿泊、旅行関係者からは、7月以降の夏のトップシーズンに感染者数が減少し、多くの観光客が訪れることを願っている。
緊急事態宣言が6月20日に終わることを心から願いたい。
(航空・旅行アナリスト、帝京大学非常勤講師)