【データ】全旅連「旅館・ホテルにおけるHACCPの考え方を取り入れた衛生管理手引書」


衛生管理手引書

調理工程に応じた重要管理のポイント

 提供する食事や仕込みした食材などは適切な温度管理をしないと、食中毒を引き起こす有害な微生物が増殖してしまいます。特に、10~60度の温度帯に食品を置いたままにすると、食品に付着した細菌が急速に増え、食中毒の原因となります。

 この10~60度の「危険温度帯」は加熱調理する過程で必ず通過しますが、短時間であれば有害なレベルまで増殖することはありません。加熱後に冷却する場合には、短時間ですばやく冷却するなどの対応が必要となります。

 そこで、提供する料理に応じた管理をするために、調理の手順(工程別)に従って整理してみると、調理内容に応じたチェックができることが分かります。

 旅館で提供する料理は見た目も大事! どの料理にも共通する盛付・配膳

 旅館で提供する料理は先付けに始まり、椀物、お造り、焼き物など、どのような料理にも盛り付け、配膳は共通しています。盛り付け、配膳はお客さまへ提供する仕上げの工程ですが、手指が清潔でなければ食中毒の予防はできません。

 そのため、盛り付け、配膳も重要管理のポイントとして、作業時は常に適切なタイミングでの手洗いのほか、お膳でお客さまが鍋物などを調理する際の加熱方法などもお伝えすることがあげられます。

グループ1 加熱調理せず、冷たいまま提供【冷却】

食中毒予防のポイント

 加熱調理しない(生のまま提供する)料理は、加熱により殺菌することはできません。食材に付着している病原微生物や、調理器具や手指に付着した食中毒菌を食材につけないよう野菜などの洗浄、殺菌のほか、器具・食器類の洗浄、消毒、殺菌や衛生的な手洗いにより汚染防止することが大切です。

 適切な温度管理をしないと食中毒菌が増殖してしまいます。付着した病原微生物が増殖しないよう、冷蔵庫で低温管理することがポイントとなります。

グループ2 加熱調理し、熱いまま提供(加熱後高温保管するもの)【加熱】

食中毒予防のポイント

 加熱調理して提供する料理には、素材の味わいを楽しむ以外に、食材に由来する有害な微生物を殺菌し、安全な食事を提供することも大切になります。しかし、表面だけが熱くても、中心まで十分に熱が通っていないと、食材に付着した食中毒菌をやっつけないまま提供することになってしまいます。加熱調理する料理は十分に加熱されたときの状態や、加熱温度や時間などの確認方法を決めておきましょう。ときには中心温度計を使って検証すると、日頃の調理作業にも自信が持てます。

 また、料理を提供する直前まで保温しておくことは、料理をおいしく召し上がっていただくためだけでなく、危険温度帯(10~60度)を避けるために、60度以上で保温することも食中毒予防のポイントです。

グループ3 加熱調理後冷却し、再加熱して提供、または、冷たいまま提供【加熱と冷却を繰り返すもの】

食中毒予防のポイント

 仕込みの関係で、あらかじめ加熱調理し、冷却保存後、提供する直前に温め直す料理では、危険温度帯(10~60度)に留まる時間を少なくするために、すみやかな冷却や十分な加熱が重要となります。

盛り付け、配膳(すべての料理を対象)

 盛り付け、配膳の工程はお客さまに料理を提供する最後の作業となるため、手指による食材への汚染を防ぐことが重要管理のポイントとなります。その都度の記録ではなく、適切に手洗いが実施できたか振り返ったり、衛生的に取り扱えなかったときの対処方法を記録しましょう。調理従事者だけでなく盛り付け・配膳担当者も手洗いのタイミングを理解し、衛生的な手洗い方法をマスターすることが大切です。

衛生管理手引書

 

 
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