7月23日、厚生労働大臣は、職業能力開発促進法第四七条に規定する指定試験機関として、ホテル業界検定スタートアップ支援協議会を、ホテル・マネジメント職種に係る技能検定試験業務を行う者として指定しました。すなわち、ホテル・旅館の管理者のマネジメント能力を国家検定試験により格付けし、技能士として登録する制度が始まることになりました。第1回検定試験が来年3月23日に東京と大阪で実施されます。
ホテル・マネジメント技能検定は、一級、二級、三級の三等級で行われます。一級は部門支配人、二級は次長、課長、三級は係長、主任のレベルの人たちを対象としています。受検資格は、一級は11年以上のホテル・旅館実務経験、二級は同じく6年以上の実務経験が必要です。三級はこれからホテル・旅館業界に入ってくる人も受けられます。
技能検定は、学科試験と技能試験の二つに分かれています。基本的には学科試験に合格しないと実技試験は受けられません(詳細は、ホテル業界検定スタートアップ支援協議会のホームページ参照)。
この国家技能検定試験制度ができるまでの歴史を確認してみましょう。ある日突然制度ができたわけではありません。
厚生労働省は、2002年から業種別「職業能力評価基準」を定めています。「職業能力評価基準」とは、仕事をこなすために必要な「知識」「技能・技術」および「職務遂行能力」を職種・職務別に整理したものです。公的な職業能力の評価基準です。宿泊産業では、2011年に厚生労働省の委託事業として、NPO・シニアマイスターネットワーク、日本ホテル協会が協力し、ホテル業「職業能力評価基準」をまとめ、厚生労働省が公表しました(詳しくは、厚生労働省ホームページ参照)。
このホテル業「職業能力評価基準」ができたことを受け、NPO・シニアマイスターネットワーク、全日本シティホテル連盟が「ホテル業界検定スタートアップ支援協議会」を立ち上げ、2016年から厚生労働省の委託事業として「ホテル・マネジメント職種」の国家技能検定策定の取り組みが始まりました。そして、検定試験の手順を確立し、今年7月、厚生労働大臣から「指定試験機関」として指定されました。
(NPO・シニアマイスターネットワーク会員 ホテル業界検定スタートアップ支援協議会 検定委員会委員長 大倉マネジメント研究所代表、大倉征俊)