かけ流しの湯守る
第696回よその旅館ホテル
──高湯温泉と言えば、すべての宿が源泉かけ流しですね。
「『源泉かけ流し宣言』の温泉地として全国にPRしていますが、昔からの温泉のあり方を地域で守ってきただけです。ただ、宣言という形で改めてPRしたことで、宿の経営者としても、温泉に対するこだわりや感謝の気持ちを再確認できました」
──創業は。
「高湯温泉は開湯400年と言われていますが、戊辰戦争で地区が全焼するなどの危機がありました。当館は明治時代の創業で約130年になります」
──風呂は。
「源泉が2カ所で、内風呂と露天風呂、外風呂があります。男女と貸切を合わせると8つの風呂があります。外風呂と言うは2002年に開設した露天の風呂で、宿の裏手の山道を少し行った、木々に囲まれた所に湯船があります。小さな宿の経営を考える上で、風呂で差別化を図ろうと趣向をこらして造った自慢の風呂です」
──集客は。
「リピーターのお客さまと、その口コミに支えられています。客層は時間的にも経済的にも余裕のある年配のお客さまを中心に、温泉好きの若い方などです。『日本秘湯を守る会』の会員ですので、そうした情報発信はしていますが、当館はホームページも、パンフレットも作っていません。宣伝も必要ですが、来てもらったお客さまをいかにもてなすかが次につながります。これが経営の原点だと考えています」
──経営の課題は。
「建物の改修やバリアフリー化などの課題はありますが、当館の魅力は温泉がすべてです。温泉にこだわった経営姿勢をこれからも大切に受け継いでいきたいですね」
【10室、1泊2食1万650円から】