2016年11月に発足した官民広域連携の酒蔵ツーリズム推進協議会を改組した「日本酒蔵ツーリズム推進協議会」の総会が6月28日、都内で開かれた。新役員を選出すると共に、17年度はクルーズ船と連携したモニターツアーなどに取り組み、酒蔵の魅力発信や訪日外国人観光客の取り込みを図る。10月には訪日外国人向け酒税の免税制度も実施され、酒蔵ツーリズム普及の追い風になりそうだ。
関係者によると、酒蔵ツーリズム推進協議会は駆け足で立ち上げたため、組織体制などの弱さが露呈し、思うような活動ができなかった。
そのため、目的の明確化(日本酒と、地方の魅力を酒蔵ツーリズムという形で国際的に伝えていく)と共に、機動的な意思決定機関(運営委員会)の創設や規約の全面改正といった抜本的な機構改革を実施、名称も日本酒蔵ツーリズム推進協議会に改めた。
会長に中央大総合政策学部教授の細野助博氏、副会長に日本観光振興協会の久保田穣副理事長、蔵元を代表して「浦霞」醸造元・佐浦社長の佐浦弘一氏(日本酒造組合中央会副会長)、日銀OBで東北・夢の桜街道推進協議会事務局長の宮坂不二生氏が就いた。会員は28日現在、個人、法人、自治体、団体など合わせて115となっている。
総会では来賓として観光庁の加藤庸之観光地域振興部長が出席したほか、国税庁、内閣府、経済産業省からも期待を込めたあいさつがあった。
16年度はウェブサイトの構築や外国人富裕層を対象とした山梨・長野両県の酒蔵巡りなどを実施。17年度はクルーズ船などと連携した国内外の富裕層向けモニターツアー、企業との共同プロモーション、通訳案内士への酒文化教育の推進などを実施する予定だ。
また、今後の方向性も確認し、(1)酒蔵ツーリズム振興に資する国内外への情報発信と外国人観光客の地方誘客推進(2)日本産酒類の輸出増加と海外販路拡大(3)酒造業界・観光業界・自治体との連携ネットワーク構築(4)酒蔵ツーリズムを軸に、地域資源を活用した魅力的な地域づくり(日本酒蔵街道)の推進—などがメインの取り組みになるとした。
10月1日導入の免税制度により、酒類にかかる税金が軽減される。外国人観光客にとって日本酒や焼酎などにかかる税を免除することで、酒を買いやすくすると同時に、地方の酒蔵を回ってもらい、地域の活性化につなげる狙いがある。酒蔵ツーリズム推進に弾みがつきそうだ。
細野会長(左から5人目)、久保田副会長(同7人目)ら推進協議会の役員とミス日本酒(同6人目)