赤ちゃんと一緒に温泉入浴──近畿日本ツーリスト(KNT)は0~3歳児の赤ちゃんとその家族を対象にした宿泊プランを造成、ホームページ(http://www.knt.co.jp/kodomo/baby/)での発売を開始した。「弊社の女性社員が自らの体験をもとに、赤ちゃん連れの旅に適した旅館・ホテルを紹介する」という。現在は4軒だが、順次増やしていく。就学児童がいる家族向けの商品は少なくないが、乳幼児を対象に、温泉をテーマにしたものは珍しい。KNTでは「受け入れOK」の旅館・ホテルを募っており、選択肢を増やしたい考えだ。
このプランは「はじめての温泉デビュー」で、(1)離乳食の用意ができる(2)温泉成分が赤ちゃんに合い、肌に優しい(3)従業員が赤ちゃんの扱いに慣れている(4)赤ちゃん用の寝具、備品、設備が整っている といった宿泊施設を厳選した。
また、育児用品メーカー、ピジョン(東京都中央区、松村誠一社長)と協力し、外出する際に役立つピジョン製の赤ちゃんトラベルセットを1予約に付き、1セットを宿泊先でプレゼントする。セットは「ほ乳瓶を消毒するためのバッグや赤ちゃん用体温計などが入っている」(KNT)ため、手荷物の軽減にも役立ちそうだ。
受け入れ施設は松本楼(群馬・伊香保温泉)、ナウリゾート(同・草津高原)、紋屋(千葉・南房総白浜)、ウェルネスの森(静岡・伊東温泉)の4軒。料金は松本楼の場合、4~6人1室で大人1人1万2600円から。赤ちゃんは無料。
KNTは2月初めに「こどもといっしょ」というサイトを立ち上げた。アクセス数は1日約2千件。旅行相談も少なくないことから、このサイトの中に「赤ちゃんのための宿泊プラン」を入れた。温泉入浴の仕方など、体験にてらしたアドバイスも行っている。
KNTでは「子育てに専念していた母親のリフレッシュと、新しい刺激に芽生えている赤ちゃんのために、気軽に旅行に出かけてもらうための応援プラン」と強調する。
少子化がいわれる中、乳幼児に的を絞った旅行商品造成の動きはこれまでほとんどなく、また乳幼児を抱え旅行をしようという家族も少なかった。しかし、消費者の意識も変わりつつあり、旅行ニーズはあると判断した。新プランが新たな需要を開拓するのか注目される。