「生活衛生業の景気回復感に乏しさ」と国金公庫


 国民生活金融公庫はこのほど、四半期ごとに実施している旅館・ホテルなど生活衛生関連業種対象の景気動向等調査の、昨年10~12月分の結果を公表した。それによると、調査対象企業の同期の売上、採算、業況の各DI(よいと回答した企業割合から悪いと回答した企業割合を引いた値)は、業況DIを除き前期から低下した。来期見通しは、売上DIが今期から上昇するものの、業況DIは低下しており、同公庫では「景況は改善傾向にあるものの、景気回復感に乏しさがみられる」としている。

 調査は12月上旬、生活衛生関係営業3220社に個別訪問面接方式で実施した。このうちホテル・旅館業は252社に聞いた。
 全業種の売上DIはマイナス29.2で、前期から5.6低下した。前年同期比では1.2低下した。来期見通しは今期から9.2上昇のマイナス20.0。

 業種別では、ホテル・旅館業など3業種で前期比上昇した。特にホテル・旅館業は7.2と、映画館とともにプラスに転じている。ただ、ホテル・旅館業の来期は10台のマイナスに転じる見通しだ。

 採算DIはマイナス9.8で、同0.7低下。前年同期比では1.5低下した。

 業種別では、季節要因の大きいクリーニング業が23.5と前期のマイナス40から大きく上昇。ホテル・旅館業もマイナス4.4からマイナス3.2へと小幅ながら上昇した。

 業況DIはマイナス21.7で、同0.1上昇した。前年同期比では0.4低下した。来期見通しは今期から1.4低下のマイナス23.1。

 業種別ではホテル・旅館業など4業種で前期比上昇した。ホテル・旅館業は9.5で、前期に続き2期連続でDI値をプラスにしている。ただ来期はマイナス20と大幅に低下する見通しだ。

 特徴的な業況判断理由として、ホテル・旅館業から次の声が挙がっている。

 「駅前の好立地に加え、宿泊料金の割安さも手伝ったのか、ここ数年間、同じ時期に長期測量技術者の定宿化がみられる。また秋口よりインターネット予約若年層のグループ客の利用が増加、収容能力30人の各部屋はほぼ満室状態を維持している。売上は、前年同期に比べ15%もアップしている」(栃木県)。

 「地元では長い業績を有する和風温泉旅館。今回、各部屋に露天風呂を設置するなど大改装を実施し、高級な洋風温泉旅館に転向。この改装が受け、東京、大阪などからの予約客が増えている」(熊本県)。

 「10月に『非日常感』をテーマにした客室の大改装を行ったほか、『地産地消』をテーマにしたレストランをホテル内にオープン。話題性の効果もあり、宿泊客の回復や食事客の増加など客数はまずまずの状況であった。来期はプランやイベントなどを積極的にアピールし、前年同期並みの売上を確保したい」(宮崎県)。

 「厳冬に入り、誘客材料に欠けるため客足は伸びない。来期は3月に大きなスポーツイベントがあるものの、新規ホテルの進出もあり、宿泊獲得競争がさらに激化する模様。総じて悪化の度合いが強まっている」(青森県)。

経営上の問題点は顧客数の減少
 経営上の問題点を聞いたところ(複数回答)、ホテル・旅館業では「顧客数の減少」が53.2%で最も多かった。以下、「店舗施設の狭あい・老朽化」39.3%、「客単価の低下」38.5%。

 
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