世界の観光関連企業で構成する世界旅行ツーリズム協議会(WTTC)はこのほど、東日本大震災が日本の観光産業に及ばず影響に関するリポートを公表した。英国オクスフォード・エコノミクスに委託して作成した分析結果。震災から9カ月が経過した時点での状況として、国内観光、国際観光ともに予想を上回る速さで回復していると指摘した。
主な指摘は、(1)日本の観光産業はWTTCが2011年5月に予測したシナリオのうち、最も楽観的なシナリオを上回る順調な回復をみせている(2)日本人の国内・海外旅行は、震災前に予期されたレベルか、それ以上の回復に達している(3)訪日外国人旅行は、完全な回復に至っていないが、当初予測のベストシナリオに沿っており、現在の傾向が継続すれば、早ければ2012年上半期までに回復に至るとみられる──。
リポートは、予想を上回る早期の回復の要因について、「震災直後の迅速なインフラ復旧や福島原発問題への対策」を挙げる。また、「強い円は日本人の海外旅行の回復に引き続き貢献し、国内、海外でのマーケティング活動は世界中の人々に対して、日本のユニークさを再確認させている」と分析している。