OMOの取り組みさらに加速  JTB執行役員 Web販売事業部長 池口篤志氏に聞く

  • 2023年6月9日

JTB執行役員 Web販売事業部長 池口篤志氏

2サイトのコンセプトを明確化

 ――22年度のWeb販売事業の取り組みは。

 「上期は変異株の出現など新型コロナの影響があり、県民割もまだ近隣地域限定でなかなか旅行に出かけづらいマーケット環境だったが、下期は全国に拡大された全国旅行支援を最大限に活用して、JTBのWeb販売も好調だった。『JTBホームページ』や『るるぶトラベル』の自販サイトの販売額は19年比で約2倍近い伸長があった。特に国内ツアー販売の伸びが大きかった。訪日インバウンドの販売は、昨年10月11日の入国規制緩和以降、19年比で100%を超える数字で推移している」

 「取り組みとしては、『OMO』を推進してきた。具体的には、今までオンラインとオフラインで別々に展開していたプロモーションやキャンペーンなどを共通化したり、各支店や旅ホ連の宿泊施設から提供された地域の情報をSNSで発信したりした。また、『JTBリモートコンシェルジュ』の取り組みは、順調に推移してきている。単純な電話予約よりも成約率は高く、販売単価も高いという状況だ」

 「サイト面では高級旅館・ホテルに特化したサイト『プラチナクオリティ』を昨年3月に新設した。パンフレットなどに使われている高品質な画像を活用することでお客さまへの訴求力を高める。プラチナクオリティは成約率が高いという結果も出ている」

 ――23年度のWeb販売における市場の見通しは。

 「コロナ禍をきっかけにお客さまのデジタルに対する抵抗感などがさらになくなり、オンライン販売はますます拡大していくだろう。一方で全国旅行支援が終了した時に反動があるのか、また、急激に訪日のお客さまが増えてきていることなどにも起因し、旅館・ホテルの単価が上がっていることなどもあって、マーケットは読みにくい状況だ。とはいえ、『旅行に行きたい』というマーケットの熱量はかなり強い。Webの領域としてもそこをどう獲得していくかというところが非常に重要なポイントだ」

 ――そのような市場環境の中でJTBはどのようなアプローチを考えているか。

 「22年度の取り組みで成果があったことは、さらに進化をさせていきたい。一つはOMO。いろいろな効果が出始めたが、一方でお客さまがそれを価値として感じてリピートしてもらえなければ意味がないので、そこはお客さまの声を聞きながらより良いものにしていきたい」

 「これもOMOの取り組みの一つだが、全国のリテール社員約1800人が個人のホームページ(HP)を持っており、そのうちの約1400人が個人の接客可能スケジュールを公開し、お客さまの利便性向上につなげる取り組みをしている。今までの『リテール販売はオフラインのみ』という常識を打破している。オンラインとオフラインをうまく融合させた取り組みをさらに加速していきたい」

 「今年度はJTBHP、るるぶトラベル、それぞれのサイトのコンセプトを明らかにしていく。JTBHPは『旅に安心とこだわりを』というコンセプトでお客さまが旅に求めるこだわり条件で商品にたどり着けるようにUIを高める。JTBグループ内の組織改編があり、添乗員同行ツアーについても改めて強化をしているため、お客さまの動きに合わせて訴求していく。JTBのアプリもさらに進化をさせていきたい」

 「るるぶトラベルは、『欲しいが見つかる簡単予約』がコンセプト。お客さまが商品にたどり着いてから簡潔に予約が完了できるように改修した。欲しいと思った瞬間に予約が完了できるようなストレスフリーな形のUI改善を継続していきたい」

 「三つ目は訪日だ。ここは二つの路線があって、JTBの自販サイト『JAPANiCAN』は世界的には知名度を高めきれていないため、認知度の向上と機能改善を進めていきたい。あとはグローバル提携販売と呼んでいる、アゴダはじめさまざまな提携先を通じて多くの宿泊プランを販売していく。ここはJTBの自販ではアプローチできない新たなお客さまを獲得するチャネルとして積極的に展開していきたい」

 ――JTB旅ホ連との連携した取り組みは。

 「旅ホ連との地域連携については、旅ホ連の皆さまからいただいた各地の情報をSNSや自販サイトだけでなく、場合によってはコンビニエンスストアなどのチャネルも活用しながら全国に発信し、地域の魅力を最大限にプロモーションできるような取り組みを展開していきたい」

 ――旅ホ連会員への要望はあるか。

 「JTBはさまざまなチャネルを持っているが、Webがお客さまとの最大の接点だ。Webサイトに加え、アプリやSNSもあり、コンビニエンスストア、提携販売サイトなどさまざまなチャネルがある。これらを販売面だけではなく、情報発信面でもうまく活用していきたい。今も多くの宿泊施設から47DMC支店に『新規オープンする』『こんな施設を新設する』や『プロモーションができないか』といった声をいただいている。お客さまが宿泊施設や旅先の魅力を知って旅をより楽しめるよう、多種多様な情報の提供を引き続きお願いしたい」

 「昨年度も旅ホ連と47DMCの支店とが連携をしてプロモーション動画を制作し、それをお客さまに対するプロモーションのほか、JTBの社員教育にも活用してきた。そういったことにも引き続きご協力いただきたい」

 
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