日本放送協会(NHK)は2月27日、旅館・ホテル、病院などの事業所の受信料体系について見直し案を発表した。テレビ設置数の適正な申告をもとに全数分を支払うことを前提に、衛星契約、地上契約ともに、敷地内の2契約目からの受信料を「半額程度」にする内容。この見直し案を基本に検討し、承認手続きなどを経て、08年度中の実施を目指している。受信契約のあり方については、旅館団体などが検討課題に挙げており、今後の動きが注目される。
NHKは、06~08年度経営計画に沿って、受信料の「公平負担の徹底」を図るためとして、事業所の受信料体系の見直しに着手。改定の最終案は、一般世帯を含む受信料体系全体の検討の中で今年9月末までにまとめるとしている。
日本観光旅館連盟、国際観光旅館連盟、全国旅館生活衛生同業組合連合会なども改定の動向を注視し、検討課題ととらえている。国観連では、06年度総会(昨年6月)で、支部からの提出議題として、合理的な料金体系を要望するため団体の統一見解を求める声が上がり、総務委員会の検討事項になっている。
現行の受信料体系では、複数のテレビを設置している事業所は、部屋などテレビの設置場所ごとに全数分を契約する。一方で、会計検査院が昨年、128のホテルを対象にした調査の中で、ホテルグループ間、地域(地方放送局)間で契約率(客室数に対する契約件数の比率)が異なり、その差も大きいと試算するなど、現状には課題も指摘されている。
放送法の改正に絡むNHK受信料の支払い義務化などが世論の注目を集める中、旅館・ホテルの受信料は、経営コストとして宿泊者の負担につながるテーマでもあり、一般消費者の理解を含めて、旅館・ホテルの間で「公平負担」のあり方が議論を呼びそうだ。