KNT−CTHDがメディア懇開催、事業の方向性など発表


 NT—CTホールディングス(HD)は8日、東京都内でメディア関係者を対象とした懇親会を開き、グループ各社の社長らが事業の方向性や中長期計画などを発表した。地域誘客交流事業ではHD内に新たに「地域事業部」を設置したことを報告。収益事業として2020年度には150億円の取り扱いを目指すことや自治体職員の出向受け入れ、幹部クラスの人材の派遣を推進していくことなどを明らかにした。

 あいさつしたKNT—CTHDの戸川和良社長は「国内旅行は熊本地震や台風、大雨の影響により低調に推移している。海外は円高で若干回復しているがテロの影響により伸び悩み、訪日旅行は昨年までの勢いがない」としたものの、「下期で回復し、目標数を目指して努力している」ことを強調した。

 今年のトピックスとして(1)20年東京五輪の公式スポンサー(2)「ジャパン・ツーリズム・アワード」で国内・訪日領域、海外領域、UNWTO部門賞の三つのカテゴリーでの受賞—を挙げ、特に国内・訪日領域はクラブツーリズムの「世界初!視覚障がい者夢の自動車運転体験ツアーの実現」が優秀賞を受賞したことは「大変励みになる」と語った。

 近畿日本ツーリストの田ヶ原聡社長は、未来創造室が取り組んでいるサイクルシェアリングシステムについて、「20年の東京五輪の頃には溢れかえる人の中で自転車が重要な交通手段になる。訪日観光客向けの2次交通としても有効だ」とし、地域観光をサポートする事業として推進していく考えを示した。また、和郷と連携して行っている農業ビジネス、東日本高速などと行っている「道の駅元気プロジェクト」などの事業について「道の駅が地方創生の中で果たす役割、可能性に注目し、食と農業と観光で盛り上げていきたい」と述べた。

 近畿日本ツーリスト個人旅行の岡本邦夫社長はメイトについて、「『旅のおすすめ』『テーマがある旅』に力を入れ、価格競争から抜け出した商品造成を進めている」と方針を示した。

 店頭販売では専門性の高い接客と情報の優位性を確保するために、店舗にテレビ電話を設置し、コンシェルジュデスクの社員と直接相談できる「旅のコンシェルデスク」を設置していること、店頭での案内時間を短縮するため旅行先や目的を入力すると希望に合うコースを案内してくれる「Qティ(クイックトラベルインフォ)」を導入していることなどを報告。Qティは今後商品数を現在の600コースから1千コースまで拡充させるとした。

 ウェブ販売では、クラブツーリズムとのサイトの連携を進めており、「e宿」の契約件数が1万件に達したことを明らかにした。

 クラブツーリズムの小山佳延社長は中長期の方向性について発表。安全で快適なバス旅行の強化を掲げ、オリジナルバス「新型クラブツーリズム号」を18年度を目標に100台導入するとした。同バスは9列36人乗りのゆとりある車内に、化粧台とトイレを設置。全席に3点シートベルトを装備し安全性を確保した。「移動する手段というより、乗ることが楽しいバス」を目指したという。

 また、ターゲットである65〜74歳のシニア層が25年には260万人減少するため、旅行の回数で減少分を補うリピーター戦略を展開する。全体の4割を占めるテーマ旅行のシェア拡大を図るため、多品種で展開していき18年にはシェア6割に引き上げる方針だ。

 KNT—CTHD事業戦略統括部地域事業部長の梶田隆弘執行役員は地域事業部について、新たな収益事業として18年には115億円、20年には150億円を目指すとした。ただ、「スポーツ事業、訪日事業ともリンクするので、全体ではこの3倍の数字が見込める」と強調した。また、自治体職員の研修出向の受け入れ、幹部クラスの人材の派遣など人事交流を積極的に推進し、観光振興協定などにつなげていく考えを示した。

 
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