KNT-CTホールディングスの第3四半期決算、216億円の赤字 債務超過は34億円 通期決算は下方修正


米田社長

早期退職には1376人が応募

 KNT―CTホールディングス(HD)が9日発表した2021年3月期第3四半期決算(20年4月1日~12月31日)の純損益は、新型コロナウイルスの影響や、ソフトウェアなど固定資産の減損を特別損失に計上したことなどから216億1500万円の赤字(前年同期は25億7300万円の黒字)となり、過去最大の赤字となった。通期の業績予想は下方修正され、370億円の赤字に。自己資本比率はマイナス3.9%で34億円の債務超過に陥り、同日に開いた決算発表に登壇した米田昭正社長は「2期連続の債務超過を避けることが最大の使命」と決意を述べた。

 売上高は、前年同期比81.1%減の612億3400万円。営業損失は261億9400万円(前年同期は41億4800万円の黒字)、経常損失は174億8600万円(同44億2500万円の黒字)だった。ソフトウェアなど固定資産が28億9千万円減損損失し、特別損失として計上された。

 決算発表では米田社長が1月4~22日に募った希望退職の応募が1376人となったことを発表した。募集対象者は原則として35歳以上の同社と近畿日本ツーリスト各社の従業員で、応募の内訳は正社員が808人、有期社員が568人の計1376人となった。特別退職加算金など約60億円の費用を見込み、通期連結決算に特別損失として計上する予定だ。退職日は3月31日。今後は店舗の統廃合やグループ内出向などを進め、24年度までに約7千人いる社員を3分の2程度まで削減する。

 中期経営計画(21年4月~26年3月)は、新型コロナの影響で先行きが見通せないことから、旅行業においては専門性、収益性の高い分野への経営資源集中による差別化を進める。

 クラブツーリズム(CT)事業では、約700万人の会員組織を生かしたライフスタイル事業(新・クラブ1000)を推進。有料会員制サブスクリプションサービスを今秋から開始する予定で、24年度には会員数100万人を目指す。

 近畿日本ツーリスト(KNT)の個人旅行事業では、OTAモデルの宿泊商品向け機能を充実するなどDX化を推進。「新・旅のコンシェルジュ」の導入などオンライン接客による顧客ニーズへの対応、KNT―CTパートナーズ会などとの連携による旅ナカ商品の開発などに取り組む。また、販売網の充実として「旅丸会」を強化する。

 KNTの団体旅行事業では、選択と集中を行い、教育、地域交流事業関連を中心とした新規顧客の開拓や、地方創生関連など旅行以外の分野での売り上げ拡大を図る。

 KNTコーポレートセールスの団体旅行事業では、ハイブリッド型MICEや訪日法人旅行の需要獲得による売り上げ拡大に取り組む。

 このほか、コスト構造の見直しとして、ブランドの整理やダイナミックパッケージ(DP)への集中、強化といった事業転換や、支店、店舗、各種センターの統廃合やKNT地域会社各社およびKNT―CTウェブトラベルの合併、HDのスリム化など組織再編、テレワークの推進など働き方改革の推進などに取り組む。18年度比で22年度には約200億円の経費削減効果を図り、25年度には営業利益ベースで100億円以上の改善を見込む。

 21年3月期通期決算予想は、売上高が870億円、営業損失が355億円、経常損失が265億円、純損失が370億円。

米田社長

 

 
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