JTB総研、シンポジウムで障害者差別解消法を解説


車いす利用者ら障害者も参加した

車いす利用者ら障害者も参加した

 JTB総合研究所(日比野健社長)は2月23日、ユニバーサルツーリズムを推進するためのシンポジウム「障害者差別解消法で広がる世界」を横浜市港北区の障害者スポーツ文化センター横浜ラポールで開催した。4月から施行となる「障害者差別解消法」の概要を解説したほか、新しいユニバーサルモビリティ・アシスト機器の活用方法も提案した。

 旅行会社や福祉関連企業・団体など約240人が参加した。車いす利用者を含む障害者は36人。

 開会のあいさつで日比野社長は「障害者差別解消法の施行で障害者に焦点が集まりがちだが、私たちは障害のある人々だけではなく、あらゆる人の旅行で感じる何らかの不自由さを取り除くという観点からユニバーサルツーリズムをとらえている」と話した。高齢者、妊婦、訪日外国人客らを含め幅広い人々を対象にユニバーサルツーリズムの推進に取り組む。

 障害者差別解消法は、行政機関や地方公共団体、民間事業者による障害を理由とする不当な差別的取り扱いを禁止。障害者に対する合理的な配慮も義務付ける。
 基調講演で観光庁観光産業課の谷口和寛課長補佐は、同法にある合理的な配慮について「思いやりの心を持って、できる範囲のことを実行に移してあげること。民間事業者は努力義務、公的機関は義務を課す」と説明。旅行業での具体例として、不当な差別は「障害があることだけを理由にツアーへの参加を断る」「ツアー中の補助、介助が必要ないのに介助者の同行をツアー参加の条件とする」など、合理的な配慮は「ツアーの相談の際、利用する宿泊施設、運送機関におけるバリアフリーの状況について情報を提供する」「ツアーへの参加を断る場合でも安全、安心に参加できる旅行について相談する」などを挙げた。

 シンポジウムでは、富士レークホテル(山梨県・河口湖温泉郷)の井出泰済社長らが登壇するパネルディスカッション「もっと旅行を楽しむためのユニバーサルモビリティ・アシスト機器」も開催。会場内には最新の福祉機器やサポート機器も展示されていた。

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