JTBの田川博己社長は17日、グループ全体で20年に取扱額2兆円、営業利益400億円を目標とする経営ビジョンを発表した。「アジア市場における圧倒的ナンバーワンポジションを確立し、長期的・安定的な成長を可能とする基盤を完成させる」を基本戦略とする。宿泊販売4千億円を達成するため、4月に国内商品事業部の一元化を図ることも明らかにした。
東京都内で開いた「2013年新春経営講演会」の中で発表した。昨年3月に創立100周年を迎え、次の100年に向けて進化するための長期的なビジョンで、「主戦場をグローバル、特にアジアに置いて、日本でやってきたビジネスモデルを一部変更しながら世界に広めていきたい」と田川社長。加えて、「国内市場の掘り起こしも大事だ。新しいマーケットをいかに創り出すか、新しい領域にいかに乗り出すか、についてもしっかり具体的に展開をしていきたい」と意欲を示した。
2020年ビジョンを具現化するため、グループ経営の基本方針(1)次の100年に向けた経営基盤の強化(2)グループシナジー最大化による交流文化事業の完成(3)需要創造とシェア拡大による成長への転換(4)ミッション経営の徹底—を策定。なかでも持続的成長の幹と位置づける交流文化事業について田川社長は、「地域に眠っている伝統文化という宝を、あるいは生活文化という現実を見据えながら新しい価値として高度化することが最も重要」として、全国の自治体やJTB旅ホ連との連携を引き続き強化することを強調した。
ビジョン遂行の第一歩として、13年度から3カ年の次期中期経営計画「『パーフェクトモーメンツ オールウェイズ』ロード トゥ グローバルビジョン2020」を実施する。4つの事業領域(1)国内個人事業(2)国内法人事業(3)グローバル個人事業(4)グローバル法人事業—を定義。国内個人事業ではシニア層・富裕層戦略をさらに強化し、国内法人事業では地域経済の活性化に貢献する DMC(デスティネーション・マネジメント・カンパニー)戦略を一層推進するなどして、取扱額で1兆7500億円、営業利益で200億円を目指す。
現在、各地域事業会社が抱える国内商品事業部は、4月に国内商品事業本部をグループ本社内に設置して一元化。商品力強化とグループ全体最適を追求する。国内旅行の活性化を推進するためだが、「最大の目的は宿泊増売。4千億円の早期達成を目指す」と田川社長。
経営ビジョンを発表する田川社長