JTBは4月から、取り決めた客室数を売り切れなかった場合、その埋め合わせとして「販売保証金」を旅館に支払う「客室販売保証制度」を試行している。上回って売れば「達成対価」を受け取れる。旅館・ホテルとのウイン&ウインの関係を築き上げようとするなか、先の「客室買い取り制度」に続いて、リスクを持った販売手法を模索する取り組みの一環。旅行会社として初の試み。
伊豆や箱根、鬼怒川、日光、草津、秋保など北関東の旅館12軒と特定の部屋タイプに関して9月末までの間で行う。保証する客室数は、昨年度の販売実績を参考に各旅館・ホテルと協議して決めた。期間中に扱う延べ約8万室の客室のうち、約2万室が対象となる。
販売保証金、達成対価ともに旅館との個別交渉だが、食事を除く料金2〜3万円の客室で1室当たりそれぞれ5千円前後に定めた模様。「制度を本格的に導入した段階ではもっと高い金額になるだろう。前例がないだけに、今はどういう結果が出るのかのデータを集めることに意識を置いた」とJTBは説明する。
販売保証の契約を交わす12軒の旅館を集め、泊食分離型商品「湯とお部屋を楽しむ宿」としてパンフレットでも展開し、販売している。
一方、客室買い取り制度への道のりはいまだ険しい。1〜3月の試行販売では全1120室のうち目標の700室を売ったが、パンフレット制作費などを考えると採算に合わず、「まだスキームが十分にできあがっていない」(JTB)。
これまで「湯とお部〜」は買い取りを試す狙いもあった商品だが、今回に加え、次回も販売保証制度により造成される予定。「買い取りには今後も挑戦する」とJTBでは言うが、当面、販売保証制度を軸に、組み合わせた形での実用化を目指す見込みだ。