JTBは、09年度から構造改革のため取り組んでいる3カ年の中期経営計画を10年度で終了させる。国内企画商品「エース」の商品力の低下、ネット販売への対応不足、店頭事業の市場適合性の低下といった課題が顕在化。急激な環境の変化に対応しきれていない現状を認識し、構造改革のスピードを速める。
11年度から2カ年の中期経営計画を開始。10年度は、次期中計への基盤整備の期間と位置付け、「構造改革に徹底的に取り組む」(田川博己社長)。併せて、ネット販売などの成長分野を伸ばし、グループ収益力の改善を目指す。特に旅行営業の諸課題については田川社長の直接指揮で解決を図る。
国内旅行事業の構造改革として、仕入れ、造成、販売、流通をゼロベースで見直す「プロジェクト4000」を断行する。
店頭事業は市場や地域特性に応じて店舗ネットワークを再編。経費構造の見直しによる収益性の改善も図る。
ウェブ販売では宿泊商品力を強化。国内、海外の専用パッケージツアーも展開する。
法人事業では成長分野ととらえている地域活性化ビジネスに力を注ぐ。
11年度からの中計名称は「JTBニュー・ディパーチャー2011」。旅行事業の収益性、旅行周辺事業、“人財力の3点の強化を目的とする。
具体的には、オンラインエージェントとしての地位確立に向けたウェブ事業を強化するほか、国内宿泊販売はネット、インバウンドの比重を高めて増売を実現する。グローバル事業については、アジア1のDMC(デスティネーション・マネージメント・カンパニー)を目指していく。
旅行周辺事業の強化策として、総合プロデュース事業のJTBコミュニケーションズ、出版事業のJTBパブリッシング、JTB商事などの主要会社では旅行事業との相乗効果で安定した利益確保を目指す。