
宿泊施設にも普及の進むAED
JTB協定旅館ホテル連盟の会員向けサービスを提供するJTB旅連事業は、旅館にAED(自動体外式除細動器)の設置を働きかけている。ホテルに比べて普及が進んでいないと見ており、「万一の事故に備えるべき」と訴える。
AEDは、心停止した人の胸部に電極パッドを貼り付け、電気ショックを与える機器。操作は音声案内に従うだけで、専門的な知識は不要。04年7月から緊急時には医療従事者以外でも使用できるようになった。
サッカー元日本代表の松田直樹選手が今年8月に急死。倒れた練習場にはなかったと報道され、AEDへの関心が高まっている。JTB旅連事業の池三郎・総務部長は「あの事故以来、宿泊施設からもAEDを導入したいとの声が強まってきた」と語る。
これまで約7万台のAEDを販売しているセコムは、AED導入を検討する旅館に対し、レンタル方式を勧める。電極パッドなどの消耗品は定期的に交換しなければならない。買い取り方式では交換を忘れてしまう可能性もあるが、レンタル方式なら交換時期に同社が必ず設置先に電極パッドなどを届けるため不備を防げるからだ。
コスト面を強調するのが池部長だ。「旅館でのAED設置が進まなかった背景には、今まで高価な買い取り式が主流だったことがある。レンタル方式は月々5千程度と安価なので、導入しやすいのでは」と話す。
セコムによると、旅館・ホテルでは宴会場やロビー、浴室などで、発症と同時に発見された場合に救命される例が多い。池部長は「見える所にAEDを置けば、安心をアピールできる。ぜひ、設置を検討してほしい」と旅館に呼びかけている。

宿泊施設にも普及の進むAED